■ 中国が日中交信の音声を公開し「日本が訓練妨害」と主張
中国軍機による航空自衛隊F15へのレーダー照射問題が続く中、中国側は9日夜、当時の無線交信とする音声を公開し、日本側の行動が「中国の演習妨害」だったと主張した。音声を公表したのは、中国中央テレビ(CCTV)傘下の軍事情報番組「玉淵潭天」。台湾紙『聯合報』や香港メディア『東網』『星島頭條』などが一斉に伝えた。
公開音声では、中国海軍011艦が6日午後2時10分と2時28分、海上自衛隊116艦に対し「艦載機が計画どおり飛行訓練を実施する」と標準中国語と英語で通告し、日本側が「受信した」と応答していた。中国側は、訓練海空域を事前に公表し、日本艦艇にも複数回の通報を行ったと主張している。
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■ 日本は強く反論「危険回避情報は極めて不十分」 小泉防衛相が詳細説明
一方、日本側は中国の主張を全面的に否定している。小泉進次郎防衛相は10日の記者会見で、中国から通報はあったと認めつつも「危険回避に必要な情報は不十分だった」と反論した。
小泉氏によれば、訓練の時間帯、緯度経度を示す航空情報、航行警報など、国際的に必要とされる情報が一切示されていなかった。中国が主張する「日本のレーダー信号を感知した」という説明についても、航空自衛隊F15が遼寧艦載機にレーダーを照射した事実は確認されていないと明言した。
さらに同氏は「問題の本質は、中国側が約30分にわたり断続的にレーダー照射を行ったことだ」と指摘し、中国に対し強く再発防止を求めた。訓練海域は日本の排他的経済水域(EEZ)内にあり、周辺には沖縄本島も位置するため「自衛隊が対領空侵犯措置を行うのは当然」と説明した。
■ 日中対立は長期化の可能性 軍事リスクの増大も指摘
今回の問題では、
- 中国:日本が演習区域に接近し、最短50キロ未満まで近づいて妨害した
- 日本:危険回避情報が不十分で、照射の正当化は成り立たない
という構図で、双方の主張は大きく食い違ったままだ。
外交ルートでも互いに厳しい抗議を交わしており、情勢は沈静化の兆しを見せていない。背景には、近年の東シナ海情勢の緊張、航空・海上における接触機会の増加、軍事的相互不信の拡大があるとみられる。中国側の音声公開は、国際世論戦・情報戦の一環としての側面も指摘されており、今後も同様の主張合戦が続く可能性がある。
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