中国国家安全省は10月26日、工場や研究機関などが廃棄・売却した設備から機密情報が流出する危険性について警告を発表した。工作機械の制御装置、工場の監視機器、測量機器などには、製造工程や設備の運転状況、地理的位置に関する情報が保存されている場合があり、通常のファイル削除や初期化だけではデータを完全に消去できないという。同省は、外国の情報機関が中古品取引や廃品回収を利用して設備を入手し、残されたデータを復元する可能性があるとして、企業や研究機関に廃棄方法の見直しを求めた。
廃棄した工作機械や制御装置にもデータが残存
国家安全省は26日、廃棄設備に残るデータの危険性を解説する文章を公表した。
同省によると、企業が生産設備を更新する際、古い工作機械や工場の制御装置を十分な情報消去処理を行わずに売却する例がある。
設備の管理担当者が、ファイルを削除したり、記憶装置を初期化したりすれば、内部の情報は消えたと考えていることが問題だと指摘した。
しかし、通常のファイル削除や初期化では、記憶装置に保存されたデータの管理情報だけが消され、元のデータが残っている場合がある。
専門的なデータ復元技術を使用すれば、こうした情報を取り出せる可能性があるという。
同省は、設備としての使用を終えたことと、内部の情報が完全に消去されたことは同じではないと説明している。
製造工程や顧客情報などの流出を懸念
国家安全省は、廃棄設備から流出する可能性のある情報を、設備の用途によって分類している。
一般的な製造業やサービス業で使われる工作機械、レジシステム、倉庫管理端末などには、生産工程の設定値、製品図面、顧客名簿、仕入れ価格、財務情報などが保存されている場合がある。
こうした情報が競合企業や不正な目的を持つ第三者に渡れば、企業の営業秘密が流出し、経済的損失につながるおそれがあるとした。
また、工場の制御装置には、生産設備の動作を管理するプログラムや、設備の稼働履歴などが残っている場合がある。
これらの情報から、工場の生産工程や設備の構成を把握できる可能性があるという。
エネルギー・通信・交通分野の設備を警戒
国家安全省は、エネルギー、通信、交通、化学工業、水利などの重要インフラで使用される設備について、特に注意が必要だと指摘した。
これらの施設で使われる制御装置や監視システムには、設備の運転条件、施設内の機器配置、安全対策の設定などが保存されている場合がある。
外国の情報機関などがこうした情報を入手すれば、設備の弱点や安全対策の不足を分析する材料になる可能性があるという。
同省は、情報流出が将来のサイバー攻撃や施設への破壊行為につながる危険性を指摘している。
ただし、26日の発表は廃棄設備に伴う危険性を説明したものであり、特定の工場や重要インフラ施設が今回新たに攻撃されたと公表したものではない。
測量機器から軍事施設周辺の位置情報が流出する危険
測量機器や地質調査機器についても、国家安全省は情報管理上の問題を指摘した。
GPS受信機、測量装置、環境監視機器、地質探査装置などには、過去の測定地点の座標や移動経路、地形に関する情報が保存されている場合がある。
鉱山の調査記録や地質データなども、設備内部に残る可能性がある。
同省によると、一部の機器には軍事管理区域や機密施設、重要な建設事業の周辺に関する位置情報が保存されていることもある。
こうした設備が十分な情報消去処理を受けずに中古市場へ流出すれば、機密性の高い地理情報が第三者に渡る危険性があると説明した。
外国情報機関による中古設備の買い取りを警告
国家安全省は、外国の情報機関が中古品取引サイトや廃品回収業者などを通じ、中国の重要産業で使用された設備を意図的に入手する可能性があると指摘した。
同省によると、回収した設備の内部データを復元したり、制御装置の構造を解析したりすることで、施設の運用状況や安全対策に関する情報を取得できる場合がある。
また、相場より高い価格で中古設備を買い取ると持ちかけ、工場や研究機関に接触する人物についても注意を促した。
ただし、26日の発表では、こうした手口を使った具体的な外国情報機関の名称や、新たな摘発事件の詳細は示されていない。
外国の情報機関による活動の可能性については、中国国家安全省の説明として扱う必要がある。
記憶装置の破壊や専門業者による処理を推奨
国家安全省は、設備を廃棄・売却する前に、内部の記憶装置を専門的な方法で処理するよう求めた。
特に重要な情報を保存していた設備については、記憶装置の消磁や物理的な破砕などによって、情報を復元できない状態にする方法を推奨している。
また、設備の回収や廃棄を委託する際には、必要な資格を持つ事業者を選び、処理の経過を記録するよう呼びかけた。
国家安全省は、不審な設備買い取りの申し出などを発見した場合、国家安全機関の通報窓口「12339」などを通じて情報提供するよう求めている。
今回の発表は、工場や研究機関が保有する設備の情報管理を、使用期間中だけでなく、廃棄・売却の段階まで徹底するよう求める内容となっている。
出典
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(2026年10月27日)
