中国メディアの界面新聞などによると、四川省成都市成華区槐樹店路の集合住宅の建設現場で9月1日午前、タワークレーンが解体作業中に倒壊し、作業員5人が死亡した。 事故当時、施工者の中鉄二十二局集団第三工程が解体作業中、クレーンが突然折れ曲がり、多数の鋼鉄部材が散乱。運転室や起重アームが外れて落下し、周囲の仮設建物が押し潰された。同社関係者は当局により身柄を拘束された。成華区応急管理局などは「原因を調査中であり、結果は後日公表する」と表明した。
ネットの投稿画像には、作業員が部材の下敷きとなる様子や、タワー上部に取り残された人々の姿が映っている。犠牲者の家族は「当日亡くなったのはおじで、建設現場で30年近く働いていた。事故でタワークレーンに直撃された」と語った。
ネット上では施工について「倒壊は上部接合部が集中して破断しており、解体作業の不備や部品の欠陥の可能性がある」との分析が出た。また「工期を急ぎ安全検査を軽視したのではないか」との指摘もある。
今回の施工主体が国有企業である点にも注目が集まり、「老舗の国有企業ならなら安全管理は厳格なはずだが、制度が形骸化していたのではないか」との見方も出た。一方で「調査結果を待たずに企業の性質だけで断定すべきでない」と冷静な意見もみられる。
中国ではタワークレーンの倒壊による事故がしばしば発生。今年5月には、甘粛省定西市ショウ（さんずいに章）県で商業複合施設の建設工事現場でタワークレーンが倒壊し、作業員3人が死亡した。23年9月には、四川省簡陽市の道路橋の建設現場で、タワークレーンが倒れ、作業員6人が死亡した。
◇出典
中国で頻発するクレーンの倒壊事故
◎建設工事中のタワークレーン倒壊＝作業員3人死亡―甘粛
● 概要
甘粛省定西市の複合商業施設工事でタワークレーンが倒壊し3人死亡。当局は引き上げ作業中の操作ミスで上部アームが脱落し本体に衝突と説明。過去の同省での類似事故も言及。 中国安全情報局
● URL
https://www.alertchina.com/38654570-2/
◎クレーン横転、走行中の地下鉄直撃＝けが人なし―上海
● 概要
上海の高架線を走行中の地下鉄にクレーンが横転して接触。幸い負傷者なし。クレーン事故の多発事例に触れ、直近の遼寧や四川のケースも参照。 中国安全情報局
● URL
https://www.alertchina.com/37526342-2/
◎タワークレーン道路上に横転 運転員死亡 遼寧
● 概要
遼寧省北鎮市の現場でタワークレーンが道路側へ横転し運転員死亡。停車車両を押しつぶし電線切断で停電も発生。原因を当局が調査中。 中国安全情報局
● URL
https://www.alertchina.com/36439877-2/
◎工事現場でタワークレーン横転＝作業員11人死傷―四川
● 概要
四川省簡陽市の道路橋工事でタワークレーンが突然倒れ11人死傷。中国で相次ぐクレーン横転事故の文脈も紹介。 中国安全情報局
● URL
https://www.alertchina.com/33279602-2/
◎落下のクレーンが電車直撃＝大学教員ら11人死傷―台中
● 概要
台中市の建設現場で解体中のタワークレーンのアームが落下しメトロ車両を直撃。1人死亡、10人負傷。施工・解体の分担や捜査状況を報告。 中国安全情報局
● URL
https://www.alertchina.com/32291299-2/