米国の科学者団体「憂慮する科学者同盟」で東アジア部門を率いるグレゴリー・クラッキ氏は、10月30日付ジャパン・タイムズへの寄稿で、日本への米核兵器の持ち込みや配備を認める議論を批判した。核兵器の所在地を変えても日本の安全が高まるとは限らず、限られた防衛予算は通常兵器と新技術に振り向けるべきだと主張した。
同氏は、小泉進次郎防衛相がフィンランドの対応を踏まえ、核兵器の搬入、通過、配備を選択肢から除外すべきでないとの趣旨の発言をしたと紹介した。その上で、米核兵器が日本に置かれても、日本側が使用を決められるわけではなく、指揮権は米大統領に残ると指摘。配備による安心感と実際の軍事的効果を分けて考える必要があると論じた。
米国が中国や北朝鮮の目標を攻撃するために、日本国内への核配備が不可欠とはいえないというのが同氏の見方だ。一方、核兵器を受け入れた基地は核紛争時の攻撃目標となる危険が増し、受け入れ国の民間インフラも危険にさらされると警告した。
寄稿では朝鮮戦争や台湾海峡危機、ロシアによるウクライナ侵攻を取り上げ、核使用の威嚇が常に相手の意思を変えるとは限らないと説明した。ウクライナがロシアの威嚇を受けながら抵抗を続けていることも、核兵器の象徴的効果には限界があるとする論拠に挙げた。
クラッキ氏は高市早苗首相に対し、通常兵器の新技術や実戦での戦術を重視するよう提言した。これらは同氏による核配備論の評価であり、日本政府が米核兵器の配備を決定したという内容ではない。
出典:Gregory Kulacki/The Japan Times、2026年10月30日。原題:The naive case for deploying U.S. nuclear weapons to Japan。原記事
