台湾の芸人襲撃事件、中国政府が関与を否定 検察は5人起訴、越境弾圧で対立

中国国務院台湾事務弁公室の陳斌華報道官は10月28日、台湾の芸人、黄逸豪氏が襲撃された事件について、中国政府が関与したとする台湾側の主張を否定した。台湾の検察当局は、中国本土の人物から資金提供や指示を受けて黄氏を襲撃した疑いで5人を起訴している。事件を中国による越境弾圧とみる台湾側と、政治的な非難だとする中国側の対立が深まっている。

黄氏は中国の習近平国家主席を風刺する公演で知られる芸人。9月に台湾北部の新北市で車にはねられ、負傷した。

台湾の検察当局によると、容疑者らは交通事故を装って黄氏を負傷させ、公演を妨害する計画を立てていたという。

ロイターによると、襲撃計画には黄氏の腕や脚に重傷を負わせる意図があったとされる。実際の事件で黄氏が負ったけがは比較的軽かった。

中国本土の人物から指示と資金か

台湾の新北地方検察署は10月21日、事件に関与した疑いで5人を起訴した。

検察当局によると、被告らは「K」という通称を使う中国本土の人物から指示や資金提供を受け、黄氏の公演を阻止しようとした疑いがある。

台湾政府は事件を、中国が政治的に批判的な人物を国外でも威圧する「越境弾圧」の一例と位置付けている。

中国側は「政治的な非難」と反論

陳斌華報道官は28日の定例記者会見で、台湾側の主張について、与党・民主進歩党が政治的な目的で作り上げたものだと反論した。

中国側は、台湾側が越境弾圧という問題を利用して独立志向をあおり、対立を引き起こしていると主張した。

台湾では11月に地方選挙が予定されており、中国側は選挙のたびに同様の主張が持ち出されると批判している。

一方、台湾の大陸委員会は、中国が海外や台湾の批判者に対して監視、脅迫、暴力的な行為を行っていると主張している。

米国務省も28日、中国政府関係者や代理人が国外の中国共産党批判者を威嚇しているとの認識を示した。

ただし、黄氏の事件について中国政府の具体的な関与が司法的に確定したわけではなく、台湾側の捜査結果と中国政府の否定は区別する必要がある。

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