中国とジブチ、紅海の航行自由を支持 域外大国の軍事介入を牽制

中国とアフリカ東部のジブチは10月21日、北京での外相会談を受け、紅海とバブ・エル・マンデブ海峡の航行の自由を支持する共同声明を発表した。両国は中東での武力衝突が紅海周辺に波及することに懸念を示し、商船の安全な航行を確保するよう求めた。一方、域外大国による武力行使や一方的な制裁を避けるべきだとも主張した。ロイター通信は22日、イエメンでの戦闘激化やジブチに各国の軍事基地が集中している状況を背景として報じた。

紅海の航行自由と沿岸国の主権を重視

中国の王毅外相とジブチのアブドゥルカデル・フセイン・オマル外相は21日、北京で会談し、アフリカ北東部の「アフリカの角」の平和と安定、紅海・アデン湾の航路の安全に関する共同声明を発表した。

両国は、紅海とバブ・エル・マンデブ海峡について、国際法に基づく各国商船の航行権が尊重されなければならないと強調した。

また、紅海の安全保障を巡っては、沿岸国の主権、領土保全、意向を尊重する必要があると主張。地域の安全保障上のリスクをさらに高める行動を避けるよう求めた。

中国は、紅海沿岸国が国際航路の安全と円滑な輸送を維持する取り組みを支持する立場を示した。

域外大国による武力行使と制裁を牽制

共同声明のもう一つの特徴は、紅海の安全確保を訴えると同時に、域外大国による軍事介入にも慎重な立場を示した点にある。

ロイター通信によると、両国は地域外の大国に対し、関係国の主権と領土保全を尊重し、武力行使や一方的な制裁を避けるよう求めた。

声明では米国を直接名指ししていない。しかし、米国などが中東で軍事行動を展開している状況を踏まえると、中国が紅海の航行安全を支持しながら、域外大国による軍事的な対応を牽制する外交姿勢を示したと解釈できる。

中国外務省も22日、アフリカの角が大国間の地政学的な競争の場となるべきではなく、中東の紛争が同地域に波及することを防ぐ必要があると説明した。

イエメンの戦闘激化が紅海の安全を脅かす

紅海の安全保障情勢が悪化している背景には、イエメンでの武力衝突がある。

ロイター通信によると、イランの支援を受けるフーシ派は、サウジアラビアが支援する政府側勢力と戦闘を続け、紅海沿岸の支配地域を拡大しようとしている。こうした戦闘は一部の海上輸送にも影響を及ぼしている。

米国務省はイエメンでの戦闘激化を受け、サウジアラビアの米外交施設に勤務する一部職員とその家族に退避を命じた。

英紙ガーディアンも20日、イエメンの戦闘から逃れた住民が紅海を渡ってジブチに避難していると報じた。紛争の影響は商船の安全だけでなく、対岸のジブチにおける難民受け入れにも広がっている。

ジブチには中国、米国、日本、フランスの軍事基地

ジブチはアフリカ北東部に位置し、紅海とアデン湾を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡に面している。

中国は2017年、ジブチに初の海外軍事基地を開設した。ジブチには米国、日本、フランスも軍事基地を置いており、各国の安全保障上の利害が集中する地域となっている。

中国にとってジブチは、海上輸送路の安全確保だけでなく、アフリカとの経済・物流協力の拠点でもある。

王毅外相は21日の会談で、中国企業によるジブチへの投資を促進する考えを示し、エチオピアとジブチを結ぶ鉄道を活用した物流・貿易拠点の整備を支援する方針を表明した。

このため、紅海の安全保障情勢の悪化は、中国の海外軍事拠点の運用だけでなく、アフリカにおける経済協力や物流網にも関わる問題となる。

海上輸送の混乱、アジアと欧州の貿易にも影響

紅海はスエズ運河を経由してアジアと欧州を結ぶ主要な海上輸送路であり、バブ・エル・マンデブ海峡はその南側の出入口に当たる。

紅海で商船への攻撃や軍事的な緊張が高まれば、船会社がアフリカ南端の喜望峰を経由する航路への変更を迫られる可能性がある。

航路の変更は輸送日数の長期化や燃料費の増加につながり、国際物流や企業の調達計画に影響を及ぼす恐れがある。

中国とジブチが航行の自由を強調した背景には、こうした経済的な利害もある。

今回の共同声明は、商船の安全確保と沿岸国の主権尊重を同時に求める外交的な意思表明である。新たな共同軍事作戦や護衛活動の開始を発表したものではない。

ただし、中東の紛争が紅海やアフリカの角にさらに波及すれば、各国の軍事活動と海上輸送の安全確保を巡る対立が深まる可能性があり、今後の情勢が注目される。

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