欧州委員会のフォンデアライエン委員長は9月16日、フランス東部ストラスブールの欧州議会で一般教書演説を行い、中国との貨物貿易の不均衡を是正するため、欧州連合(EU)が「あらゆる利用可能な手段」を用いる方針を表明した。2025年のEUの対中貨物貿易赤字は1日当たり10億ユーロに達したとし、現在の状況は「持続不可能」で、転換点に達しているとの認識を示した。
フォンデアライエン氏は、中国からの輸入増加などによって欧州の産業基盤が圧迫される「第2のチャイナ・ショック」が既に始まっていると主張した。中国企業と競争する欧州企業には公平な競争条件が必要だと強調し、北京との対話を続ける一方、協議は具体的な成果につながらなければならないと訴えた。
「言葉も大切だが、行動はさらに重要だ」と述べ、EUと中国の経済関係を再均衡させるため、通商防衛措置を含む既存の政策手段を活用する構えを示した。ただし、演説では新たに発動する関税や規制など、個別の措置は明らかにしなかった。
対中協議、10月までの具体的成果を目指す
EU加盟国首脳は6月、欧州委員会に対し、中国との協議で成果を上げるとともに、域内産業を守るために必要な政策手段を整えるよう求めていた。ロイター通信によると、EU側の対中協議を率いるシェフチョビッチ欧州委員(通商・経済安全保障担当)は、10月までに具体的な成果を得る意向を示している。
フォンデアライエン氏は、問題の解決に向けて協力することはEUと中国双方の利益になるとも述べた。対話による調整の余地を残しながら、中国側の対応が不十分な場合にはEU独自の措置を講じる姿勢を打ち出した形だ。
重要原材料を共同調達・備蓄
演説では、レアアースをはじめとする重要鉱物の中国依存も取り上げた。EUは調達先の多角化を進めてきたものの、各国が単独で必要量を確保するのは難しいとして、「欧州重要原材料公社」を新設すると発表した。
同公社は、電気自動車、半導体、蓄電池、クリーン技術、防衛産業などに不可欠な原材料の調達と備蓄を支援する。欧州委員会が公表した2026年一般教書演説の施策一覧にも、新たな重要政策として同公社の設立が盛り込まれた。組織形態や設立時期、資金規模などの詳細は今回の演説では示されなかった。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、今回の演説について、EUが対中貿易の再均衡と中国産原材料への依存低減を同時に進める方針を鮮明にしたと報じた。今後の対中協議と欧州重要原材料公社の具体的な制度設計が焦点となる。
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