中国、日本産半導体材料に最大99.2%の保証金 ジクロロシランの反ダンピング仮決定

中国商務省は9月7日、日本産の半導体材料「ジクロロシラン(DCS)」に対する反ダンピング調査の仮決定を発表した。日本企業によるダンピングで中国国内産業が実質的な損害を受け、両者に因果関係があると暫定的に認定。8日から、中国の輸入業者に輸入価格などを基に80.8~99.2%の保証金を税関へ納めるよう義務付けた。

対象企業別の保証金率は、信越化学工業が99.2%、デナールシランが80.8%、その他の日本企業が99.2%。保証金額は、中国税関が決める課税価格に保証金率を掛け、さらに輸入段階の付加価値税を加味して算出する。関係企業などは、公告発表から10日以内に書面で意見を提出できる。

半導体の薄膜形成に使用

ジクロロシランは、常温・常圧では無色で引火性と毒性を持つ気体で、化学式はSiH2Cl2。半導体製造工程で、ウエハー上に薄膜を形成する際の原料ガスとして使われる。

用途はエピタキシャル膜、炭化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、酸化ケイ素膜、多結晶シリコン膜などの形成で、ロジック、メモリー、アナログなど各種半導体の製造に関わる。シリコン系前駆体やポリシラザンの合成にも用いられる。AP通信によると、日本は半導体向け超高純度ジクロロシランの主要生産国である。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、デナールシランを半導体用特殊ガスメーカー、信越化学をシリコンウエハーと電子材料の世界的な大手供給企業と紹介した。今回の措置は、こうした日本企業から中国への輸出に影響する。

中国企業は国産化を推進

中国商務省は、国内メーカーの唐山三孚電子材料が2025年12月に提出した申請を受け、2026年1月7日に調査を開始した。調査対象期間はダンピングが2024年7月1日~2025年6月30日、産業への損害が2022年1月1日~2025年6月30日。立件時に中国側が示した資料では、日本からの輸入量は2022~2024年に増加傾向を示す一方、輸入価格は累計31%下落したとされた。

台湾の聯合報は、中国企業による生産増強も報道した。唐山三孚電子は電子級ジクロロシランの年産能力500トンを850トンへ拡大する計画。金宏気体は年産200トンの設備を試験生産しており、和遠気体も湖北省宜昌市の工場で試験生産を進めているという。ただし、これらの生産能力や国産化の進展が、中国の輸入需要に与える具体的な影響は現時点で明らかになっていない。

日本政府が抗議、調査は継続

AP通信によると、日本政府は8日、中国側の措置に抗議した。木原稔官房長官は、日本企業への影響を調べ、不公平な損害を避けるため適切に対応する考えを示した。

今回の初裁は、高市早苗首相が2025年11月に台湾有事を巡って国会答弁した後、日中関係の緊張が続く中で出された。中国は2026年1月6日、日本の軍事利用や軍事力強化につながる軍民両用品目の輸出規制を強化し、翌7日にジクロロシランの反ダンピング調査を始めていた。

中国商務省は今回の調査について、中国法と世界貿易機関(WTO)の規則に従って実施したと説明。「貿易救済措置を慎重かつ抑制的に運用している」とし、今後も関係者の権利を保障しながら調査を継続し、結果に基づいて最終決定を下すとしている。

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(2026年9月9日)
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