米、中国製人型ロボット輸入禁止 FCCが認証停止、中国は「保護主義」と反発

2026年7月30日

 米連邦通信委員会(FCC)は現地時間7月28日、中国製を中心とする外国製の人型ロボットや四足歩行ロボット(ロボット犬)、自律移動ロボット(AMR)、送電網接続用の電力インバーターの輸入を禁止すると発表した。国家安全保障やサイバーセキュリティー上のリスクを理由とする措置で、人工知能(AI)やロボット分野の供給網を米国内へ回帰させる狙いがある。ドイツの国際公共放送ドイチェ・ベレ(DW)やロイター通信などが伝えた。

FCC、中国製ロボットなどを輸入禁止

トランプ氏の対中商品禁止令の概要
新規追加項目 新型ロボット
電源インバーター
具体内容 中国で製造された新型ヒューマノイドロボット、四足歩行ロボット、インバーターの輸入を禁止
目的 ・アメリカのAIを国家安全保障上の脅威から保護
・AI、ロボットのサプライチェーンのアメリカ回帰を誘導
中国企業への影響 ヒューマノイドロボットの宇樹科技(Unitree)、インバーター大手の陽光電源(Sungrow)などが影響を受ける可能性
台湾企業への影響 台湾企業は脱中国(非レッド)サプライチェーンの優位性を活かし、精密部品、関節モジュール、制御システムから完成品製造に至るまで全面的に恩恵を受ける見込み

出典:聯合報

 FCCは、ホワイトハウスの関係省庁で構成する国家安全保障チームの評価を踏まえ、輸入規制対象となる「カバードリスト(Covered List)」を拡大した。対象製品はFCCの機器認証を取得できず、米国内で販売できなくなる。措置は即日発効し、未発売の新型製品が対象となるほか、FCCは必要に応じて既存製品の販売認可を取り消す権限も持つ。

 対象となる「先進ロボット設備」には、人型ロボット、自律移動ロボット、四足歩行ロボットが含まれる。障害物回避や自律走行、ナビゲーション機能を備え、人間の操作者や監督者から一定距離離れても指令やセンサー情報に基づいて動作する機体で、本体と地上局またはドッキングステーションを合わせた重量が4.4ポンド(約2キログラム)を超えるものが規制対象となる。

国家安全保障を理由に規制強化

 FCCは、外国製の先進ロボット設備がサプライチェーンの脆弱性を生み、重要インフラへのサイバー攻撃や国家安全保障上の脅威となる可能性があると説明した。さらに、敵対国による米国民の監視や外国情報機関の能力向上、ロボットの遠隔操作などに悪用される恐れがあると指摘した。

 米政府は、AIやロボット分野の重要技術について、安全で独立したサプライチェーンを構築する必要があるとしており、今回の措置も中国製先端技術製品の排除政策の一環と位置付けられる。中国製ドローンの輸入禁止に続く措置で、中国製オープンソースAIモデルへの規制も検討されている。

 一方、ロイター通信によると、FCCは最近の外国製ドローンやルーターへの対応と同様、中国以外の多くの海外メーカーについては規制対象から除外する見通しとしている。

中国外務省「保護主義」と反発

 中国外務省の毛寧報道官は7月29日の記者会見で、「米国は国家安全保障の概念を拡大解釈し、中国企業を不当に抑圧している」と反発した。その上で、「保護主義は米国の競争力を高めることはなく、米国企業と消費者の利益を損なうだけだ」と批判し、中国企業の正当な権益を守るため必要な措置を講じ続ける考えを示した。

 中国駐米大使館も、米国に対し中国企業への中傷や制裁による威嚇をやめるよう求めている。

中国勢が世界市場をリード

 中国は世界の人型ロボット市場で優位に立っている。英バークレイズ銀行は2025年の世界導入台数の約85%を中国が占めたと分析し、米モルガン・スタンレーは2030年の中国市場規模が150億ドルに達すると予測している。

 調査会社Omdiaによると、2025年に世界で出荷された約1万5000台の人型ロボットのうち、中国の宇樹科技(Unitree)と智元机器人(AGIBOT)はそれぞれ5000台以上を出荷した一方、米テスラとFigure AIはいずれも数百台規模にとどまった。Omdiaは欧州も中国企業にとって重要な市場と位置付けている。

 モーニングスターのアナリスト、李康玉霄氏は、中国メーカーは生産能力の拡大とコスト削減で海外勢を上回っていると指摘する一方、「米国市場への参入制限は重要市場を失うことになるが、中国国内市場や他の輸出市場を考えれば、中国の人型ロボット産業全体の成長が大きく鈍化することはない」との見方を示した。

 また、Counterpointは、今回の措置により世界市場で約20%のシェアを持つ宇樹科技が影響を受ける可能性があると分析している。一方で、台湾の一部産業用機械メーカーや太陽光発電用インバーターメーカーには代替需要が生じる可能性も指摘されている。

 中国メディア「証券時報」は、電力インバーター大手幹部の話として、新たな製品は米国認証を取得できなくなる一方、すでに認証済みの製品は引き続き米国市場で販売できるとの見方を伝えた。ただ、同幹部は米国の政策変更が相次いでいることから、市場への影響を慎重に見極める必要があるとしている。


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