中国、民族団結促進法を7月1日施行 域外適用規定巡り海外で懸念拡大

中国政府は24日、国務院新聞弁公室で記者会見を開き、7月1日に施行する「中華人民共和国民族団結進歩促進法」の内容を説明した。同法は民族政策を包括的に法制化するもので、中国政府は「中華民族共同体意識」の形成や国家統一を支える基本法と位置付けている。一方、中国国外にも適用される第63条を巡っては、海外メディアや人権団体、台湾の政府・研究者から懸念が示されている。

民族政策を法制化 国家統一の基本法と位置付け

同法は今年3月の全国人民代表大会で可決され、全7章65条で構成される。教育、言語、出版、インターネット、企業活動、宗教など幅広い分野を対象とし、香港、マカオ、台湾や海外華僑にも関係する内容を含む。30年以上ぶりに前文を設けた法律で、中国政府は民族政策の理念や基本方針を示す法律と位置付けている。

中央統一戦線工作部の陳瑞峰副部長兼国家民族事務委員会主任は、同法は習近平総書記が提唱する「中華民族共同体意識」の理念を国家意思として法制化したものだと説明した。また、全国人民代表大会民族委員会の巴音朝魯主任委員は、立法作業は2023年11月に始まり、2025年8月には党中央政治局会議で法案が審議されたと紹介した。

域外適用規定に中国政府は反論

議論を呼んでいるのが第63条である。同条は、中国国外の組織や個人が民族団結を損ない、民族分裂を引き起こす行為を行った場合、中国法に基づいて法的責任を追及すると定めている。

司法部の胡衛列副部長は、この規定について「海外からの民族問題に関する違法行為に対処するための措置であり、中国の既存の管轄権原則とも整合している」と説明した。その上で、対象は違法行為に限定され、人的交流や学術研究、経済・貿易協力など通常の国際交流には影響しないと強調した。また、一部海外メディアが国外への法適用を認める規定として批判していることについて、「客観的ではない」と反論した。

新疆・チベット政策でも従来の立場を強調

中国政府は、新疆ウイグル自治区やチベット自治区の民族政策を巡る海外からの批判についても従来の立場を改めて示した。

陳氏は、新疆の労働力移転は本人の自由意思に基づく就業支援であり、「強制移住」や「強制労働」は存在しないと主張した。過去5年間で新疆では都市部の新規雇用が239万2000人、農村労働力の域外就労は延べ1610万人に達し、都市・農村住民の1人当たり可処分所得も増加したと説明した。

また、中央統一戦線工作部の段毅君副部長は、チベット自治区の寄宿学校についても海外メディアによる「強制同化」や「人権侵害」との指摘を否定した。寄宿学校は希望者を対象とした制度であり、週末や長期休暇には帰宅でき、保護者も自由に面会できると説明したほか、居住地が広範囲に分散するチベットでは寄宿制教育への需要が高いと述べた。

台湾や人権団体は懸念を表明

一方、人権団体は、新法によってウイグル族など少数民族への同化政策が強化される可能性があると指摘している。

台湾では、対中政策を担当する大陸委員会(陸委会)が、中国国外の組織や個人にも適用される第63条について注意を呼び掛けている。成功大学の王宏仁教授は、同条の定義が曖昧であるため、中国国外で新疆やチベットなど中国の民族政策を批判する言論や研究活動も、中国当局の判断によっては責任追及の対象となる可能性があると指摘した。

また、東海大学大陸研究センターの洪浦釗副執行長は、中国で事業や投資、家族とのつながりを持つ人や、研究者、メディア関係者、市民団体などが政治的圧力を受ける可能性があるとの見方を示した。台湾与党・民主進歩党の荘瑞雄立法院党団幹事長も、中国が国内法を利用して国外の言論活動を萎縮させようとしていると批判した。


出典

最高人民検察院

新華社

RFI

中央通訊社

自由時報

香港01

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