
米中首脳が異例の電話会談:台湾問題は「不可越のレッドライン」
2026年2月4日夜、中国の習近平国家主席は米国のトランプ大統領と電話会談を行った。両首脳は2025年10月の釜山での会談以来、良好なコミュニケーションを維持してきたことを確認した。習氏は2026年を「中米が相互尊重、平和共存、協力共栄へと邁進する一年」にしたいと意欲を示し、トランプ氏も4月の訪中に強い期待を表明するなど、対話の継続が強調された。
しかし、その融和的なムードの中には、中国側からの厳正な警告が暗に含まれていた。習氏は台湾問題を「中米関係において最も重要であり、越えてはならない第一のレッドライン」と位置付け、トランプ政権が承認した高額な台湾への武器売却について「慎重に処理すべきだ」と直接的に要求した。これに対し、トランプ氏は「中国側の懸念を重視する」と応じ、自身の任期中に米中関係を安定させる意向を示している。
翌5日には中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)の陳斌華報道官が記者会見を行い、民進党当局による「武力による独立(以武謀独)」が台海情勢の緊張を招いていると批判した。米国が「一つの中国」原則と「中米共同コミュニケ」を厳格に遵守し、軍事的関与を控えるよう改めて釘を刺した形だ。背景には、トランプ政権下のディール外交において、台湾問題が交渉材料とされることへの中国側の強い警戒感がある。
中露首脳の結束と「新戦略兵器削減条約」失効後の世界戦略
習氏は同日午後、トランプ氏との会談に先立ち、ロシアのプーチン大統領ともテレビ会談を行っている。習氏が同日に米露の首脳と相次いで連絡を取り合うのは極めて異例であり、国際社会における中国のキャスティングボートとしての存在感を誇示した。
プーチン氏との会談では、中露の戦略的パートナーシップが「世界の安定要因」であることが再確認された。特に焦点となったのは、2月5日に期限を迎える米露間の「新戦略兵器削減条約(新START)」である。この条約は核弾頭や運搬手段の数を制限する米露間唯一の軍備管理条約だが、プーチン氏は条約の延長提案に対する米側の無回答を背景に、「もはや義務に拘束されず、行動を自由に選択できる」との認識を示した。習氏はこれに呼応するように、国連を核心とする国際秩序と世界の戦略的安定を維持するため、ロシアと手を携える意向を強調した。
この動きは、トランプ大統領が国連を軽視し、多国間枠組みに代わる新たな交渉スタイルを模索していることへの牽制とみられる。習氏の政策意図は、米国との二国間関係を安定させつつも、ロシアとの強固な連携を維持することで、米国による一方的な外交圧力に対抗する「バランス外交」を完遂することにある。
2026年の中米経済協力と戦略的展望
会談では経済・貿易分野での実務的な協力についても議論が及んだ。トランプ氏はSNSで、中国による米国産原油・天然ガスの購入、大豆をはじめとする農産物の追加買い付け、航空機エンジンの納入などが議題に上ったことを明かした。トランプ氏にとっては、4月の訪中を前に具体的な「経済的収益」を確保することが最優先事項であり、習氏もまた、中国の「第15次5カ年計画(十五五)」の始動にあたり、対米関係の安定による経済発展の基盤作りを重視している。
習氏は「米側には米側の懸念があり、中国側には中国側の懸念がある」と述べ、互いの核心的利益を尊重し合うことで解決策は見つかるとの認識を示した。2026年は米国建国250周年や、両国がそれぞれ主宰するAPEC、G20といった重要な外交日程が控えている。今回の異例の「米露同日会談」は、中国が米露双方とのパイプを戦略的に使い分け、予測困難な国際情勢の中で自国の主導権を確保しようとする意志の表れといえる。
[出典]
- 川習通話籲對台軍售慎重處理 國台辦:美方應慎之又慎
- 习特通话暗含警告: 你有你的关切我有我的关切
- 中美元首通話|習近平:美須慎重處理對台軍售 國台辦:台灣問題是中國核心利益中的核心
- 中美元首通話-習近平強調台灣是重要問題-籲美方慎重處理軍售
- 习近平先后与普京、特朗普通话
- 習近平「罕見」與美俄領導人同天聯繫 陸官媒分析「新表達」
[関連情報] - 米中首脳会談2026年の展望|トランプ氏4月訪中と習近平氏訪米で安定局面へ
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