中ロが日本周辺で第10次空中戦略巡航 日本と韓国が同時反発し警戒強化へ

中ロ爆撃機が四国沖へ接近 日本は12月10日に強い懸念を表明

 中国とロシアは12月9日、東シナ海と西太平洋空域で第10次の共同空中戦略巡航を実施した。中ロ両国は爆撃機を含む多様な航空戦力を展開し、沖縄本島と宮古島の間を通過して四国東方まで進出した。日本防衛省は12月10日、「日本に対する示威行動であり、国家安全への重大な威嚇だ」と表明し、航空自衛隊が緊急発進で対応した。

 防衛省統合幕僚監部によれば、ロシアのTu95戦略爆撃機2機が日本海から南下し、対馬海峡を抜けて東シナ海で中国の轟6K爆撃機2機と合流。その後、編隊は宮古海峡を通過し、四国東方の太平洋空域まで進出した。到達地点は東京から約700キロで、同空域への中ロ爆撃機の進入は初めてとされる。

 さらに宮古海峡通過時には中国のJ16戦闘機8機が加わり、爆撃機4機・戦闘機8機の大規模な編隊が形成された。中国中央テレビ(CCTV)は、J16、轟6、空警2000が相次いで離陸する映像を公開し、巡航の規模を強調した。


韓国も9日に抗議 中ロ軍機9機がKADIZに進入

 韓国国防省は12月9日、ロシア軍機7機と中国軍機2機が韓国東部・南部の防空識別圏(KADIZ)に相次いで進入したと発表。韓国空軍は緊急発進で対応し、10日に在韓中国・ロシア大使館へ正式に抗議した。

 北京では中国国防省の張曉剛報道官が10日、「中ロ巡航は年間協力計画に基づくもので、第三国を対象としない」と強調し、「地域の平和と安定を維持する能力を示すものだ」と主張した。

 しかし、日本と韓国は周辺空域で急速に増加する中ロ軍事活動に強い懸念を示しており、東アジア全体の安全保障環境は一段と不安定化している。


中国海軍「遼寧艦」も同時期に動向拡大 琉球周辺で3方向包囲の構図

 中国メディアの観察者網は、日本防衛省の発表として、12月8日に中国海軍の遼寧艦空母打撃群が北大東島東方約490キロの海域へ展開し、その後大東諸島周辺を南下したと報道。中ロ爆撃機編隊が四国東方空域まで進出したことで、空母部隊と合わせて「琉球諸島を3方向から包囲する構図になった」と指摘した。

 日本では、防衛省が12月6日に公表した中国艦載機によるF15へのレーダー照射問題も続いており、中ロの協調的な軍事行動が地域緊張を一段と押し上げている。


中ロ協調は対米・対日戦略の一環か 東アジアの安保環境は転換点に

 中ロ共同巡航は2019年以降年次化しており、今回はその第10回にあたる。特に2025年は、王毅外相のロシア訪問や中ロの対日警戒の強化など、政治・外交面での協調も顕著となっている。防衛白書でも明記されているとおり、日本周辺での中ロ同時行動は「質・量ともに新段階」に入りつつある。

 今回の巡航コースが日本本土に接近し、同日に韓国KADIZでも中ロ軍機が確認されたことから、東アジアの安全保障環境はより緊張した局面に入ったと言える。


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