中国の「暴走団」香港に上陸 大音量行進に批判広がる条例違反との指摘も

香港で「暴走団」出現 ビクトリア・ハーバー沿岸で大音量行進

 中国で流行する中高年の集団ウォーキング「暴走団」が香港に現れた。青い統一ジャージに白い帽子を着用した一行が、西九文化区やビクトリア・ハーバー沿岸を二列で整然と歩き、大音量の音楽を流しながらストレッチ運動を交えて進行。通行人や観光客の注目を集める一方、「騒音で迷惑」「公共空間を占拠している」との批判が相次いだ。

 香港メディアによると、この「暴走団」は深センを経由して来港した二十人余りの集団で、先頭には旗を持つリーダーが立ち、隊列を組んで歩く姿が撮影された。中には外国人観光客が興味を示して動きをまねる場面もあった。だが、SNS上では「恥を香港までさらした」「音が大きすぎる」「どこへ行っても嫌われる」と非難が殺到。香港市民だけでなく、本土のネットユーザーからも「他人の静けさを奪うな」との苦言が寄せられた。


「広場ダンス」超える迷惑行為に 法的処罰の可能性も

 「暴走団」はもともと健康志向の高まりを背景に中国各地で広まった。中高年層が中心で、旗を掲げるリーダーの号令に合わせ、音楽を鳴らしながら整然と歩くのが特徴である。しかし、その規模が拡大するにつれ、交通ルールを無視したり、公園や道路を占拠したりするなどの問題が顕在化した。今年7月には遼寧省で出動中の消防車が暴走団に進路をふさがれ、通行を妨げられる事件も発生。ネット上では「広場ダンスに続く最も迷惑な運動」と批判が強まっている。

 香港の大律師(弁護士)陸偉雄氏は、こうした行為が公安条例の「公共の場における秩序びん乱行為」や「簡易治罪条例」の「公共の場での妨害罪」に該当する可能性を指摘。違反が認定されれば最高五千香港ドル(約四万円)の罰金および懲役一年が科されるおそれがあると警告した。健康増進目的で始まった活動が、いまやマナーと法秩序を問う社会現象へと変質している。

[出典]
星島頭條「香港失陷︱內地暴走團現身西九 網民:丟人丟到香港去了」
香港01「內地『暴走團』殺入香港!沿路播大聲音樂助威 惹途人側目」
中央社「中國暴走團湧港惹關注 律師警告可能觸犯擾亂罪」

[関連情報]
中国社会の高齢化と健康ブームに関する分析
広場ダンスから見える公共空間の課題
香港の公安条例と秩序維持制度の解説

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