貴州で大規模な食中毒事 サンドイッチ原因で100人超が入院 サルモネラ菌に汚染

食中毒事件の発生と規模

中国貴州省遵義市習水県で、地元の食品工場が製造したサンドイッチを原因とする大規模な食中毒事件が発生した。9月17日に最初の報告が入り、9月21日午後5時時点で136人が入院。そのうち小中学生が89人、就学前の子どもが10人を含む。患者は発熱、腹痛、下痢に加え、胆石や腎盂拡張、肝腎機能異常を示すケースも確認された。

問題のサンドイッチは「習水県麦可美加楽食品工場」が製造したもので、9月15日から17日の間に同県8店舗で販売された。208個のうち29個が緊急回収されたが、179個が市場に出回り、少なくとも187人が食べたとされる。


保護者の証言と重症例

複数の保護者が事件の深刻さを証言している。ある母親は、子どもがサンドイッチを食べた直後に嘔吐と下痢を繰り返し、39度を超える高熱に苦しんだと話す。別の母親も「3人の子どもが1個を分け合い、全員が40度近い熱と腹痛に襲われた」と語った。

李という母親の子どもは特に症状が重く、習水県人民病院から遵義市第一人民病院を経て、重慶市児童病院にまで転送された。検査では超敏C反応蛋白が基準の10倍以上、胆のうに複数の結石、さらに腎盂拡張が見つかった。ほかの子ども10人も同様に転送され、そのうち2人は腎臓の異常を示し、1人は吐血や血便も伴った。


政府の対応と圧力

習水県の市場監督管理局は直ちに店舗の営業停止を命じ、原材料や残存製品を押収した。省・市・県の疾病対策チームが流行病学調査を行い、検査の結果、サルモネラ菌が原因と判明した。

しかし一方で、事件を告発しようとした保護者への圧力も報告されている。李さんは、SNSに投稿した動画を削除するよう地元政府や教育局から求められ、実家の両親にまで電話が入ったと証言した。別の保護者も「政府は『心配するな、対応する』と言うが、同時に動画を消すよう繰り返し指示された」と話している。


社会的影響と報道の温度差

中国国営の新華社は「肝腎機能異常」という表現で簡潔に報じ、患者数や販売数の事実を中心に伝えた。一方で、香港メディア on.cc は「子どもに肝腎異常が出ている」と強調し、中央社やRFIは保護者証言や政府の圧力に焦点を当てた。報道の温度差は、事件をめぐる情報公開のあり方を浮き彫りにしている。


関連性と波及する懸念

今回の事件は孤立した事例ではなく、中国各地で学校給食や学内販売をめぐる食中毒が相次いでいる。広東省と山東省では鶏手羽先やハンバーガーが原因とみられる集団食中毒で230人超が搬送されたほか、河南省の中学校では多数の児童が体調不良を訴え、保護者が学校に押し寄せ警察が出動する騒ぎとなった。また深センの小学校では児童45人が昼食由来の病原菌により入院している(広東・山東の事例河南の事例深センの事例)。相次ぐ食中毒は、学校での衛生管理や食品検査体制の脆弱さを浮き彫りにしており、再発防止に向けた徹底的な対策が求められている。


まとめ

貴州省習水県で発生したサンドイッチによる大規模食中毒事件は、100人を超える子どもに深刻な健康被害をもたらした。胆石や腎臓障害といった重症例が報告されただけでなく、保護者に対する情報統制の動きも指摘されている。食品安全の確保と情報公開の透明性をいかに担保するかが、今後の大きな課題である。

出典

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