中国北京で9月3日、大規模な軍事パレードが行われるのを前に、重慶市の大学城で8月29日夜「共産党打倒」を呼びかけるスローガンがビルの外壁に投影され、国内外で大きな注目を集めている。台湾の中央通信社によると、スローガンの投影は50分以上続いた。ネット上では実行者を「重慶の勇士」と呼ぶ声が広がった。(写真は「李先生はあなたの先生ではない」)

SNS「X」の著名アカウント「李先生はあなたの先生ではない」がによれば、8月29日午後10時ごろ、大学城の繁華街、熙街にビルの外壁にスローガンが映し出された。
別の投稿と動画によると、中国警察が警察は50分後、ホテルの1室が投影元であることと突き止め、突入して装置を止めた。警察が突入時、室内は無人で実行者が警官に宛てた手紙が残されていたという。
ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)によれば、スローガンを投影し「重慶の勇士」と呼ばれた人物戚洪氏が名乗りを上げた。海外のネット番組が8月31日に放送したインタビューで、戚洪氏が初めて姿を現し、行動の動機を語った。戚洪すでに中国を離れたと明かした上、「最も受け入れがたいのは中国共産党による次世代への憎悪教育だ」と述べた。
戚洪氏は1982年、重慶の山村に生まれた。貧困のため16歳で中途退学し、各地で出稼ぎを重ねた。北京で働いていたころ、路上を歩いていただけで法輪功の信者と誤認され、不当に拘束された経験がある。拘禁中に監獄の過酷な実態を目にした。
2006年には転機が訪れ、北京でネットショップを立ち上げ起業。生活は安定し、住宅や自動車を購入し、結婚・子育ても実現した。だが、北京を離れる前に政府による強制立ち退きを目撃し、権力の強制性を実感した。2021年には家族と共に重慶へ戻った。
戚洪氏が最も容認できないと語るのは、共産党による憎悪教育。特に米国や日本への敵意をあおる宣伝に強い不満を示し、「盲目的な愛国主義や歴史をねじ曲げた教科書が若者の心をむしばみ、希望や愛を失わせている」と批判した。
自身の2人の娘には幼いころから独立して考えることを教えてきたという。台湾問題を例に挙げ「もし中国が本当に優れているなら、台湾人は自然と受け入れるはずだ」と述べた。
北京・四通橋事件や白紙運動に触発され、戚洪氏は7月から行動を準備。2023年に山東省済南で投影抗議を行った人物を参考に、同じ手法を採用した。各地を調査した末、若者の多い大学城を選んだ。
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