オランダの半導体メーカー、安世半導体(ネクスペリア)が、中国の親会社、聞泰科技や同社創業者の張学政氏などを相手取り、損害賠償を求める訴訟をオランダのアムステルダム地方裁判所に起こした。聞泰科技が公表した公告によると、請求額は20億ドルに上る。2025年にオランダ政府が安世半導体の経営に介入したことから続く対立が、新たな法廷闘争に発展した。
ロイター通信や中央通信社によると、訴訟の対象には聞泰科技、張氏、安世半導体の中国事業を担う安世中国、安世上海が含まれる。
聞泰科技の公告によると、安世半導体は、中国側の事業体がオランダ本社との内部契約に違反し、独自の中国国内供給網を構築したことで、本社の事業運営を妨害したと主張している。さらに、中国側の行為がオランダの法律に基づく不公正競争に該当するとして、損害賠償を求めている。
安世半導体は、被告側の行為によって自社の事業に重大な損害が生じたと説明した。ただし、同社自身は請求額を公表しておらず、20億ドルという金額は聞泰科技側の公告による。
聞泰科技は請求を拒否
聞泰科技と張氏は、安世半導体の主張を否定し、20億ドルの連帯賠償請求を拒否した。
聞泰科技は、正式に訴状が送達され、裁判所が正式に事件を受理した場合、海外の弁護士を通じて対応する方針を示した。同社は公告時点で、正式な送達も裁判所の正式な受理も行われていないとしている。
一方、聞泰科技は、安世半導体の海外事業の株式を管理する裁判所指定の管理者などから、事業再編案を提示されたことも明らかにした。
この案では、聞泰科技が中国国内の事業の所有権と支配権を維持する一方、中国国外の事業には外部投資家を迎え、聞泰科技は少数株主となる構想が示された。
オランダ政府の介入が発端
両社の対立は2025年9月、オランダ政府が安世半導体の事業が中国へ移ることを防ぐとして経営に介入したことから本格化した。中国側はこれに反発し、中国国内で組み立て・封止工程を経た同社製半導体の輸出を一時制限した。
安世半導体は自動車などに使われる半導体を供給しており、供給網の混乱は自動車メーカーの部品調達にも影響した。その後、両政府の措置見直しで半導体不足は緩和したものの、裁判所による聞泰科技の支配権の制限は続き、対立は解消していない。
聞泰科技も2026年5月、中国の裁判所に安世半導体などを相手取る訴訟を起こし、暫定的に80億元の損害賠償を求めている。今回のオランダでの訴訟によって、両社の対立は複数の国にまたがる法廷闘争となった。
出典
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(2026年11月5日)
