中国・上海で2026年7月以降、ライブハウスなどの音楽施設に対し、日本語の歌詞を含む楽曲をステージで歌わせないよう、当局が口頭で求めていることが分かった。香港紙「星島頭條」が8月20日、日本メディアの報道を引用して伝えた。日本のアイドル文化の影響を受けた中国の「地下アイドル」にも影響が及び、予定していた日本語曲を中国語曲に変更する動きが出ている。
上海当局が日本語楽曲の歌唱を口頭で制限
報道によると、上海では7月以降、複数の区の当局者が主要な音楽施設に対し、日本語の歌詞を含む楽曲をステージで歌唱させないよう口頭で警告している。正式な文書による通知ではなく、口頭による指示とされる。
中国では、芸能人や主催者が公演を開催する際、事前にセットリストや歌詞を主管当局に提出し、審査を受ける必要がある。7月以降、日本のアイドル楽曲やアニメの主題歌を中心とする一部の公演が許可を得られず、中止に追い込まれたという。
RFI(フランス国際放送)中国語版も8月20日、上海で地下アイドルによる日本語曲の歌唱が制限されていると報じた。業界関係者からは、上海の地方当局が中央政府の対日政策を推し量り、それに合わせる形で規制を強めている可能性を指摘する見方が出ている。
上海の地下アイドル、日本語曲から中国語曲へ
影響を受けているのが、中国で活動する「地下アイドル」だ。中国メディアの統計として星島頭條が伝えたところでは、2025年時点で中国には250組を超える地下アイドルグループが存在する。
地下アイドル文化は日本から中国に広がったことから、中国のグループでも日本のメジャーアイドルや地下アイドルの楽曲を日本語で歌うケースが多い。ステージ上でファンとのやり取りに日本語を使うグループもある。
上海で活動する地下アイドルグループのメンバーは、当局による新たな口頭指示を受け、準備していた日本語曲を急きょすべて中国語曲に差し替えなければならなくなったと明らかにした。
業界関係者によると、従来は日本人歌手の公演が中止になった場合、日本語を話せる中国人歌手が代わりにステージに立つケースもあったが、現在はこうした対応も難しくなっているという。
日本人アーティストの公演中止に続き文化交流に影響
中国では2025年11月にも、日本人アーティストの公演が相次いで中止されている。中時新聞網の2025年11月29日付記事は、日本の歌手らの中国公演を巡る動きを報じていた。
今回伝えられた上海の措置は、日本人アーティスト本人だけでなく、日本語で日本の楽曲を歌う中国人の地下アイドルなどにも対象が広がっている点が特徴となっている。日中関係の緊張が続く中、上海の音楽施設や中国国内の日本文化を取り入れた芸能活動にも影響が及んでいる。
出典
- 星島頭條「中日關係︱日媒:上海官員口誡音樂場所禁唱日文歌 地下偶像須改唱華語歌」(2026年8月20日)
- RFI「上海限制地下偶像演唱日语歌 被指或揣度中央意图」(2026年8月20日)
- 中時新聞網(2025年11月29日)
