米国土安全保障省(DHS)は2026年7月31日、中国企業43社を「ウイグル強制労働防止法(UFLPA)」のエンティティー・リストに追加すると発表した。8月3日から対象企業の製品は原則として米国への輸入が禁止される。追加件数は2021年の同法施行以来で最多となり、リスト掲載企業は144社から187社に増えた。
中国企業43社を輸入禁止対象に追加
DHSによると、今回追加された中国企業43社は、新疆ウイグル自治区から原材料を調達したり、新疆当局と協力してウイグル族、カザフ族、キルギス族などの少数民族労働者を募集、移送、配置、受け入れたりしたと認定された。
43社のうち4社は、新疆当局による少数民族労働者の募集や移送、配置などを支援したことを理由に指定された。残る41社は、新疆産原材料を調達したり、中国政府が進める貧困対策や対口支援などの労働計画に関与したりしたとしてリストに加えられた。
対象企業はアルミニウム、銅、金、綿花、アパレル、トマトとその加工品、水産物、冷凍食品、交通インフラ、生物医薬品、食品、リチウムなど幅広い業種に及ぶ。
具体的には、新疆交通建設集団、新疆天蘊有機農業、新疆新姿源生物製薬、鄭州思念食品、山東黄金鉱業、白銀有色集団、山東魏橋創業集団、特変電工、天山アルミニウム、洽洽食品、七匹狼実業などの大手企業やその子会社が含まれる。中国の大手コンデンサー製造会社、湖南艾華集団も対象となった。米側は、同社が新疆から化成箔などの材料を調達していると認定した。
8月3日から「反証可能な推定」を適用
米税関・国境警備局(CBP)は8月3日以降、対象企業の製品に「反証可能な推定」を適用する。対象製品は強制労働によって生産されたものと推定され、原則として米国への輸入が認められない。
輸入業者が輸入を求める場合、商品が強制労働によって製造されたものではないことを十分な証拠で立証する必要がある。立証できない場合、対象製品は米国市場に入ることができない。
DHSは、今回の追加によってエンティティー・リストの掲載企業数が約30%増え、2021年のUFLPA制定以来、最大規模の追加措置になったと説明した。更新後のリストは8月3日に米連邦官報へ掲載され、同日から発効する。
DHS「米国の労働者を不公正な競争から守る」
マークウェイン・マリン国土安全保障長官は、DHSが対象企業の製品を米国市場に流入させないと表明した。「奴隷労働を利用する外国企業によって米国の労働者が不利益を受けることは許されない」と強調し、国土を守ることには不公正な競争から国民を守ることも含まれるとの考えを示した。
DHSで強制労働執行タスクフォースの議長を務めるロブ・ロー国土安全保障次官も、「トランプ政権は米国のサプライチェーンから強制労働を排除し、搾取に関与した外国企業の責任を追及する方針を堅持している」と述べた。
DHSによると、UFLPAの施行以来、CBPは2万4300件を超える貨物の輸入を拒否した。対象貨物の総額は約10億ドルに上る。DHSと米司法省が共同で設置した貿易詐欺対策チームも、強制労働に関係する貿易違反事件の摘発を続けており、罰金や追徴、起訴による損失額は累計10億ドルを超えた。
米議会・行政府中国委員会(CECC)も今回の措置を歓迎した。同委員会は、新疆ウイグル自治区や中国の各産業で強制労働が広範囲に存在すると主張し、人権を守り、強制労働に関係する製品が米国市場へ流入するのを防ぐうえで重要な措置だと評価した。
中国商務省「典型的な経済的威圧」
中国商務省は8月1日、米国の措置について「人権や強制労働を口実に、自国法に基づいて中国企業に一方的な制裁を科す典型的な経済的威圧だ」と非難した。
同省は、米国の措置が対象企業の合法的権益を損ない、世界の産業チェーンとサプライチェーンの安定を破壊すると主張した。中国企業の権益を守るため、必要な措置を講じる方針も示した。
中国商務省はさらに、7月30日に中米両国の経済・貿易担当責任者がオンライン協議を開き、経済・貿易関係の安定維持について率直で踏み込んだ建設的な意見交換を行ったと説明した。その翌日に米国が中国側の利益を損なう措置を発表したことは「両国首脳の共通認識に著しく反する」と批判した。
同省は「新疆では社会の安定と経済発展が進み、人々は安定した生活を送っており、いかなる形の強制労働も存在しない」と主張した。米国に対し、新疆への批判や強制労働問題の政治利用、中国企業への不当な圧力をやめるよう求めた。
中国綿花協会も米国の制裁に反発
中国綿花協会も8月2日に声明を発表し、米国が中国企業43社をUFLPAのエンティティー・リストに追加したことに「断固反対する」と表明した。
同協会は、米国による強制労働の指摘には事実上も法的にも根拠がないと主張した。中国の綿花産業は市場化と近代化を進めており、新疆では機械による綿花収穫の割合が90%を超えたと説明した。
栽培、収穫、加工、紡績までの産業全体で高度な自動化と大規模化が進み、綿花農家や産業労働者の権利は中国の法律によって保護されていると強調した。就業先も自由に選択できるため、「いわゆる強制労働は存在しない」と反論した。
また、米国が客観的な事実を無視して中国企業を「有罪推定」で扱っていると批判し、人権問題を政治的な手段として利用して中国の綿花・紡績産業の発展を抑えようとしていると主張した。
中国綿花協会は、今回の制裁が世界の綿花産業チェーンとサプライチェーンの安定を損ない、中国企業の正当な権益を侵害すると指摘した。そのうえで、中国には綿花・繊維分野の完整な産業チェーン、大規模な国内消費市場、多様化する海外市場があると強調した。
国内の綿花・繊維企業に対しては、協力を強化して市場の多様化を進め、サプライチェーンの強靱性を高めるよう呼びかけた。
(2026年8月3日)
出典
- DHS blocks 43 Chinese companies from conducting business in the United States in historic move
- 美禁43家涉強迫勞動中企產品 北京:損害企業權益
- 美國再將43家中國企業列禁進口實體清單 中國棉花協會:堅決反對
- 美擴大新疆供應鏈封殺 一口氣增列43家企業
- 美國再揮制裁大刀 43家陸企遭列強迫勞動黑名單
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