
米国防総省が中国軍関連の追加リストを公表
米国防総省(ペンタゴン)は2026年6月8日夜(米国東部時間)、米側が中国軍を支援しているとみなす中国企業の追加リストを公表した。この法的名簿は最新の「1260Hリスト」であり、ペンタゴンが中国の軍隊または国防工業基盤と提携関係にあるとみなす企業が網羅されている。
今回の追加により、電子商取引グループの「アリババ・グループ(阿里巴巴)」、インターネット検索エンジン大手の「バイドゥ(百度)」、および自動車・電気自動車(EV)メーカーの「BYD(比亞迪)」などが新たにブラックリストへ入列した。このほかに追加された中国企業には、バイオテクノロジー大手の「ウーシー・アップテック(薬明康德)」、人工知能(AI)駆動のライダー(Lidar)およびロボット企業である「ロボセンス・テクノロジー(速騰聚創)」、ヒューマノイドロボットを製造するスタートアップ企業の「ユニツリー(宇樹科技)」が含まれる。また、以前から指定されている「テンセント(騰訊)」も引き続きターゲットとなっている。さらに、再びリストに掲載された中国企業には、メモリー半導体大手の長鑫存儲(CXMT)と長江存儲(YMTC)が含まれる。
ペンタゴンは2月に一度、同様に拡大された更新リストを一時的に掲載したものの、当時はトランプ大統領の訪中を控えていたためか、説明なしにそれを取り下げていた。今回リリースされた最新バージョンは、その2月の更新内容をほぼ反映している。さらに、その取り下げられた2月のリストから一時期除外されていた長鑫存儲(CXMT)と長江存儲(YMTC)が再びリストに復帰して掲載された。この2社をリストから除外した措置は、当時、ワシントンの対中強硬派から批判を浴びていた経緯がある。
新法規に基づく規制内容とアメリカ国防契約への影響
この国防総省のリストは、該当する中国企業に対して公式な即時制裁を直接科すものではない。しかし、新しい法規に基づき、国防総省は今月後半からリスト掲載企業と直接契約を締結することが禁止され、2027年6月からは第三者を通じてそれらの製品やサービスを調達(購入)することも禁止される。これにより、これら企業がアメリカの国防契約を獲得することが阻止される。
22Vリサーチの中国研究主任であるマイケル・ハーソン氏は、「これらの間接的な規制により、米軍と取引のある一部のアメリカ企業は、指定された中国企業をサプライヤーから外さざるを得なくなる可能性がある」と分析している。この発表を受けて、市場ではバイドゥの米国預託証券(ADR)が2.1%下落、アリババが0.8%下落、BYDが0.8%下落するなどの影響が出た。
リストに掲載された企業は、国防総省の通知によると、中国の国有資産監督管理委員会(国資委)と提携関係にあるとみなされている。中央社や東網、星島頭條などの報道によると、中国の科学技術および産業政策を監督する工業情報化部(工信部)とのつながりを通じて、中国の国防工業基盤に対する「軍民融合」の貢献者として指定された。ペンタゴンはアリババを指名した際、このテック大手が工業情報化部に隷属しているため、中国の国防工業基盤の向上に寄与していると言及した。アリババはニューヨーク証券取引所に上場しており、BYDとバイドゥについても同様の部門に隷属していると指摘されている。BYDは現在、世界の電気自動車市場で主導的な地位を占めている。
1260Hリストの目的と戦略的背景
このリストは2021年にアメリカ連邦議会によって設置が授権された。その目的は、中国軍や安全部隊によって直接コントロールされている企業だけでなく、中国の国防工業基盤に貢献しているとみなされる企業を識別することにある。今回の追加企業の広さは、中国の民生テック企業が国家の軍すべき優先事項と不可分に結びついているというワシントンの見方を反映している。これは、ワシントンによる中国の半導体、人工知能(AI)ハードウェア、先端製造業への規制を突き動かしてきた懸念を明確に示すものである。
外交関係および政治的背景への打撃
今回のリスト拡大と更新は、ワシントンと北京の間の脆い外交関係を複雑化させ、米中間の緊張をさらに高める可能性がある。米メディアは、このブラックリストが二国間関係における根深い緊張と、中国のテクノロジーを戦略的脅威とするワシントンの安全保障上の懸念を浮き彫りにしたと報じている。特に、今回の追加はドナルド・トランプ大統領が先月北京で中国の習近平国家主席と会談し、両首脳が貿易一時休止(休戦)に合意し、共同の投資・貿易委員会を立ち上げると発表した直後に実施されたため、外交融和ムードへの新たな打撃となった。
また、BYDを巡っては、トランプ大統領が1月に「BYDなどの中国の自動車メーカーがアメリカ国内に工場を建設してアメリカ人労働者を雇用するのであれば、参入を歓迎する」と表明したばかりであった。さらに、ユニツリーを巡っても、米国のチップメーカーであるエヌビディア(Nvidia)が先週、研究用ロボットの開発で同社と提携する計画を発表したばかりであった。今回の動きは、ワシントンが機微な中国テクノロジーに対して、家電、バイオ、ロボティクスに及ぶ極めて広い境界線を引いていることを示している。
ただし、マイケル・ハーソン氏は、今回の措置は投資や輸出のブラックリストには至らないため主に象徴的な側面もあり、ワシントンが二国間関係を安定した足場に保つことを優先しているため、米財務省や商務省が今年、中国の主要テック企業に対してより正式な規制を追加するとは予想していないとも語っている。
中国政府および掲載企業の反論と法的対応
リストへの掲載に対し、中国大使館および対象となった企業からは強い反発と異議申し立てが相次いでいる。
中国大使館は、アメリカが国家安全保障の概念を過度に拡大し、中国企業をターゲットにした差別的なリストを作成していると批判した。大使館の声明では、「中国企業は事業を展開する国の法律や法規を遵守しており、アメリカはその誤ったやり方をやめ、中国企業に対して公平、公正かつ差別のない環境を作り出すべきだ」と主張している。
企業側の動向と反論は以下の通りである。
- バイドゥ(百度):火曜日(6月9日)に「堅決に反対する。米側にはバイドゥを組み込むためのいかなる信頼できる根拠もない。当社が『軍事企業』であるといういわゆる言説は全く根拠がない。リストからの削除を勝ち取るため、実行可能なあらゆる選択肢を講じることに躊躇しない」と言明した。
- アリババ・グループ:CNBCへの声明で、「アリババを1260Hリストに掲載すべき結論の根拠は存在しない。アリババは中国の軍事企業ではなく、いかなる軍民融合戦略の一部でもない。当社を誤って伝える試みに対し、利用可能なあらゆる法的手段を講じる」と表明した。
- ウーシー・アップテック(薬明康德):米側から中国の軍事工業企業として誤って認定されたと反論し、この決定に対抗し是正するための措置を講じるとしている。
なお、リストに掲載された企業の一部は、過去にも掲載を理由にアメリカに対して訴訟を起こしている。中国企業がペンタゴンを提訴してリスト掲載に対抗した事例としては、シャオミ(小米)が裁判での争いに勝利し、2021年5月にリストから削除された実績がある。
出典 Alibaba, Baidu, BYD named on Pentagon’s China military list 美控協助中國軍方 阿里巴巴百度比亞迪列黑名單 涉助中國軍方 美列阿里巴巴百度比亞迪入黑名單 中美關係 | 美更新涉協助中國軍方企業名單 阿里巴巴、百度、比亞迪等入列
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