米、中国系コンテナ大手4社を刑事起訴 コロナ禍の価格操作疑惑で米中物流対立が激化

米司法省、中国系コンテナ大手4社を反トラスト法違反で起訴

米司法省は5月19日、海上輸送用コンテナの価格を不当に引き上げたとして、中国系コンテナメーカー4社と幹部7人を反トラスト法違反の疑いで刑事起訴した。対象となったのは、勝獅貨櫃企業、中国国際海運集装箱(CIMC)、上海寰宇物流装備、新華昌集団(CXIC)の4社で、いずれも中国を代表するコンテナ製造大手である。

米側によると、4社は2019年ごろから供給量や価格について協議を重ね、2019年11月には深セン市で会合を開き、生産ラインの稼働時間制限や供給抑制策を協議した。さらに2020年3月には書面協議も交わされ、協定履行を監視するため各社工場に監視カメラを設置していたという。

起訴状では、少なくとも2019年11月から2024年1月まで、各社が非冷蔵型海上コンテナの生産量を共同制限し、価格を引き上げていた疑いがあるとしている。米司法省は49本の生産ラインに87台の監視カメラが設置され、各社が相互監視を行っていたと主張している。

対象企業4社は、世界の標準型ドライコンテナ生産能力の約95%を握るとされる。コロナ禍では世界的な物流混乱によってコンテナ不足が深刻化し、海上運賃が急騰した。米側は、こうした市場混乱の背後で中国系メーカーが供給を意図的に制限し、価格を操作していたとみている。

コロナ禍の物流混乱と「中国依存」問題

新型コロナウイルス禍では、港湾封鎖や物流停滞によって世界的なコンテナ不足が発生した。コンテナ価格は2019年から2021年にかけて2倍以上に上昇し、海上輸送費の急騰を招いた。

当時、米国では家具、家電、自動車部品、建築資材など幅広い分野で供給不足が発生し、インフレ圧力が急速に高まった。米司法省は今回の事件について、「全ての米国家庭に影響を与えた」と強調している。

司法省高官は「パンデミック初期に、被告企業は市場支配力を利用して暴利を得た」と批判した。ある企業の利益は2年間で約100倍に膨らんだという。

今回の事件は、単なるカルテル摘発にとどまらない。米国では近年、中国依存型サプライチェーンへの警戒感が急速に高まっている。半導体、レアアース、電池、港湾設備などに続き、海運インフラ分野でも「中国支配」が国家安全保障問題として扱われ始めている。

実際、中国政府は4月に「供給網安全規定」を施行し、外国による輸出規制などに対抗措置を講じる法的枠組みを整備した。米中双方が経済安全保障を重視する中、物流インフラを巡る対立も激化している。

幹部7人を起訴 1人はフランスで拘束

起訴された7人には、CIMCの麦伯良董事長兼CEO、勝獅貨櫃の張松声主席、同社マーケティング責任者の馬南慶容疑者らが含まれる。

馬容疑者は2026年4月、フランス・パリで香港行き航空機に搭乗しようとした際に拘束され、現在米国への引き渡し手続きが進められている。他の6人は逃亡中とされる。

米国の反トラスト法では、違反した場合、個人に最大10年の禁錮刑と100万ドルの罰金、企業に最大1億ドルの罰金が科される可能性がある。不当利益や消費者損失が大きい場合、さらに重い制裁が科される可能性もある。

米中対立は「物流・供給網戦争」の段階へ

今回の事件は、米中対立が関税や半導体規制だけでなく、物流・供給網分野にまで広がっていることを示している。

米中間では現在、首脳会談再開に向けた調整が進む一方、レアアース、AI、半導体、学術交流など幅広い分野で対立が継続している。米国側は、中国企業による市場支配や国家支援型産業政策への警戒を一段と強めている。

コンテナは世界貿易の基盤であり、その供給を中国企業が事実上独占している構図は、米国にとって大きなリスクと映っている。今回の起訴は、中国製造業の国際的な影響力に対する米国側の強い危機感を象徴する案件ともいえる。

今後は、海運、港湾、物流設備などを含めたサプライチェーン全体で、米中間の規制強化や対立拡大が進む可能性が高い。

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