
トランプ氏、習氏と会談延期示唆 ホルムズで協力要求
トランプ米大統領は、中国がホルムズ海峡の安全確保に向けた行動を取らない場合、北京で予定されている習近平国家主席との首脳会談を延期する可能性があると述べた。トランプ氏は15日のインタビューで「海峡の受益者は不測の事態を防ぐ義務がある」と指摘。石油供給を同海峡に依存する中国に対し、会談前の決断を要求した。
トランプ氏はまた、欧州の同盟国に対しても、イランに封鎖された海峡の再開を支援しないのであれば、NATO(北大西洋条約機構)は「非常に悪い未来」に直面すると警告。掃海艇の派遣など「チーム行動」への参加を迫っている。イランの封鎖により国際原油価格は開戦後約45%急騰し、世界経済への影響が深刻化している。
一方で、米中経済高官はパリで閣僚級会談を開催した。中国側は米産大豆の継続購入や重要鉱物の供給安定化、貿易・投資の新管理メカニズム構築に前向きな姿勢を示した。これらは首脳会談に向けた「安定化」の案となるが、トランプ氏は安全保障面での譲歩を首脳会談開催の条件に掲げて圧力を強めており、3月末の訪中計画は予断を許さない状況だ。イスラエルはイランへの大規模空襲を敢行しており、中東情勢の泥沼化が外交日程に影を落としている。
ホルムズ海峡封鎖と原油高騰が迫る「受益者負担」
米イスラエル連合による対イラン軍事行動の開始から約2週間、イラン側は報復措置として世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を実質的に封鎖した。この影響により、国際的な原油指標であるWTI原油先物などは1バレル106ドルまで急騰。戦争開始前の水準から約45%もの上昇を記録し、世界経済に新たなオイルショックの懸念が広がっている。
トランプ大統領はこの事態を受け、米国単独での航行の自由確保ではなく、同海峡の恩恵を受ける諸国による「受益者負担」を強く求めている。特に中国は、輸入石油の約9割を同海峡の通過に依存しており、封鎖の長期化は中国の製造業や国内経済に直結する死活問題である。トランプ氏は『フィナンシャル・タイムズ』の電話インタビューにおいて、中国やフランス、日本、韓国、イギリスを名指しし、海域の安全を確保するための「チーム行動」への参加を促した。
トランプ氏の要求は具体的であり、米国よりも保有数の多い掃海艇の派遣や、イランの無人機・水雷に対抗するための特殊部隊・軍事力の展開を想定している。これに対し、欧州諸国や日本などは事態の沈静化を最優先とする立場を崩しておらず、ワシントンの呼びかけに即座に同調する動きは見られない。トランプ氏はこうした同盟国の消極的な姿勢に対し、「ウクライナでは遠く離れた地でありながら多大な支援を行った。今度は彼らが米国を助ける番だ」と、NATOの存在意義を問う強い表現で不満を爆発させている。
米中首脳会談を「人質」に取るトランプ流の交渉術
トランプ氏は、3月末に予定されている「トランプ・習会談」を、ホルムズ海峡問題における中国の譲歩を引き出すための外交カードとして利用している。大統領は「習主席との会談後に動いたのでは遅すぎる」と断じ、首脳会談開催の前提条件として中国の護衛艦隊参加や軍事的役割の分担を突きつけた。
現在、米中間ではパリにおいて実務レベルの経済協議が進行中である。ベセント財務長官と中国の何立峰副首相による会談では、中国が今後3年間、毎年2500万トンの米国産大豆を購入し続けることや、鶏肉、牛肉、大豆以外の農産物の追加購入を検討するなどの進展が見られた。また、航空機エンジン製造に不可欠な重要鉱物「イットリウム」の対米供給流動化についても前向きな議論がなされている。
しかし、これらの経済的な「安定化」策だけでは、トランプ氏を満足させるには不十分である。トランプ氏は、対中貿易赤字の解消といった経済的側面だけでなく、エネルギー安全保障という安全保障コストを中国にも負担させるべきだという一貫した持論を展開している。中国側にとって、米国の軍事行動に加担することは中東諸国との関係悪化を招くリスクがあるが、首脳会談の延期による対米関係のさらなる冷え込みや、原油高騰による国内産業への打撃も無視できない。
イスラエル軍がイラン国内の「数千の標的」を対象に大規模な空襲を継続し、テヘラン当局が米欧の権益を狙った報復を宣言する中、ホルムズ海峡の緊張は極限に達している。トランプ氏が突きつけた「協力か会談延期か」という最後通牒に対し、習近平政権は外交・エネルギー・安全保障の全てにおいて極めて困難な決断を迫られている。
[出典]
- 特朗普称中国如不参与护航霍尔木兹海峡 或推迟特习会 – RFI
- 川普施壓北約中國協助疏通荷莫茲海峽 不排除延後川習會 – 中央社CNA
- 美中巴黎會談為「川習會」定調 川普恐延後峰會施壓北京疏通荷莫茲海峽 – 上報Up Media
[関連情報]
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