香港空港で貨物機が滑走路外れ海に転落、巡回車と衝突し地上作業員2人死亡

事故の概要と発生状況

20日未明、香港国際空港でドバイ発エミレーツ航空のボーイング747貨物機(便名UAE9788)が着陸中に滑走路を外れ海に転落した。機体は巡回中の空港管理局の車両に衝突し、地上作業員2人が死亡した。貨物機の乗員4人にけがはなかった。

事故は午前3時53分ごろ発生。航空管制塔は貨物機からの救難信号や支援要請を受けておらず、交信を試みたが応答がなかったという。機体は滑走路中央付近で突然進路を逸脱し、フェンスを突き破って北側の海へ転落した。消防は通報から2分後に現場へ到着し、海上に浮かぶ機体から乗員4人を救出した。潜水隊は約40分後、水深7メートル付近で巡回車を発見。車内の2人を収容したが、いずれも死亡が確認された。

現場の状況と被害の詳細

事故機は防波堤に機首を乗り上げ、胴体が中央で二つに折れていた。機首下面には大きな穴が開き、右翼も損傷した。左側の脱出スライドは展開され、右側ドアも開いていたが完全には膨張していなかった。空港滑走路周辺には多数の消防車と救助隊が配置され、海上では消防艇が警戒を続けた。

死亡した2人は空港警備会社の社員で、勤務歴はそれぞれ7年と12年。家族は北大嶼山病院に駆けつけ、悲嘆に暮れた。貨物機の乗員は同病院で診察を受け、一部は警察による事情聴取を受けた。警察は空港警区と新界南総区重案組が合同で捜査を進めている。

天候・設備に異常なし 黒箱捜索続く

機場管理局(機管局)は、事故当時の天候および滑走路の状態はいずれも正常であったと説明した。黒箱(フライトレコーダー)は依然として海中で捜索中であり、航空会社および機体所有者の到着を待って引き揚げ作業を協議する。機管局は「救助と証拠収集を最優先し、調査完了後に処理を決める」と述べた。

同局は、北滑走路を封鎖したうえで、約1000便の発着を南滑走路と中滑走路で維持。空港全体の運航に影響はないとしている。

安全体制への影響と航空当局の対応

今回の事故は、香港国際空港の安全管理体制に改めて焦点を当てた。管制塔が救難信号を受信せず、通信も途絶したまま貨物機が逸脱した経緯は、航空安全システムの検証を迫る。空港運営当局は、事故原因の特定と再発防止策の策定を早急に進める方針を示した。

香港国際空港はアジア屈指の貨物拠点であり、世界各地と結ぶ国際物流の要。今回の事故による滑走路封鎖は限定的だが、航空会社や保険業界に与える影響は大きいとみられる。

[出典リンク]
星島頭條|機場兩死事故 控制塔事發前無收涉事貨機求助
香港01|機場貨機連被撞地勤車衝落海釀2死 現場直擊最新情況
聯合報|香港國際機場發生貨機墜海事故

[内部リンク]
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