紹興地鉄で深夜の重大事故
浙江省紹興市の軌道交通2号線で9月13日深夜、車両基地へ戻る途中の回送列車が清掃員4人に衝突し、3人が死亡、1人が負傷した。事故は営業終了後に発生した。運営会社の紹興市軌道交通集団有限公司は25日夜に公告を出し、事故を認めたうえで、清掃員が定められた経路を通らずに線路へ進入したことが原因と説明した。事故は「生産安全事故」に分類され、同社の安全管理の不徹底が露呈したとした。主要事実は香港メディアの報道でも確認できる。 香港01
当局の調査と初動対応
浙江省交通運輸庁は事故後、省レベルでの調査に切り替えた。庁担当者は9月24日に、死傷者数や原因の詳細を最終的に調査報告として公表する方針を示した。運営会社は事故直後に救護と遺族対応を実施し、善後処理は9月17日に完了したと説明。あわせて全社的な安全教育と制度見直し、潜在リスクの一斉点検を進める計画を示した。
他都市で相次ぐ鉄道トラブル
地下鉄の安全課題は紹興に限らない。上海中心部の人民広場駅では8月19日夕、ホームとコンコースを結ぶエスカレーターから大量の煙が発生し、乗客が地上へ避難した。けが人は報告されず、同日中に運行は通常へ戻ったが、ピーク時の混乱が露呈した。〔関連記事：上海中心部の地下鉄駅で大量の煙 乗客が避難〕。 中国安全情報局
さらに、建設中の西安地下鉄10号線では2024年4月18日深夜の試験運転中に追突事故が発生し、職員1人が死亡、2人が負傷した。原因は運転ミスとみられ、西安市は調査と手順見直しを指示した。〔関連記事：西安地下鉄10号線で電車試験中に追突 職員3人死傷〕。 中国安全情報局
財務面のひっ迫とサービス低下リスク
運営の持続性も大きな論点だ。中央からの補助金を受けながらも、全国で少なくとも26都市の地下鉄事業が赤字に陥っている。節電や終電繰り上げなどサービス縮小の動きも見られ、利用者の不満を招いている。〔関連記事：中国の地下鉄26都市が赤字 巨額補助金も採算取れず〕。 中国安全情報局
こうした財務制約は、外注先を含む現場の安全体制や教育訓練への投資に影響を与えかねず、運営会社のガバナンスと監督当局のチェック機能の強化が不可欠となる。
路線の基本情報と事故の位置づけ
紹興地鉄2号線は2023年7月に初区間が開通した。全長約10.8キロ、駅は9、最高時速は100キロ。終電は22時30分台で、事故は営業終了後に起きた。清掃員が規定外ルートで本線側へ入った点は重大であり、自動化が進んだ路線であっても人の動線管理と立入手順の徹底が安全の最終防波堤であることを示した。
今後の焦点
当局の調査で、現場の誘導・合図・閉塞手順、留置線と本線の境界管理、外注先を含む協力会社の教育体制、リスクアセスメントと是正履歴の実効性が検証される見通しだ。再発防止策の透明な公表、犠牲者・負傷者への補償、そして財務制約下でも維持できる安全投資の枠組み作りが焦点となる。
出典
中国新聞網「浙江紹興軌交事故致3死1傷 涉事公司：人員未按規定進入行車區」
https://www.chinanews.com.cn/sh/2025/09-26/10489570.shtml?utm_source=chatgpt.com
星島日報（頭條日報）「恐怖事故︱紹興地鐵清潔工闖路軌3死1傷 13日肇事今始通報」
https://www.stheadline.com/realtime-china/3502517/%E6%81%90%E6%80%96%E4%BA%8B%E6%95%85%E7%B4%B9%E8%88%88%E5%9C%B0%E9%90%B5%E6%B8%85%E6%BD%94%E5%B7%A5%E9%97%96%E8%B7%AF%E8%BB%8C3%E6%AD%BB1%E5%82%B7-13%E6%97%A5%E8%82%87%E4%BA%8B%E4%BB%8A%E5%A7%8B%E9%80%9A%E5%A0%B1
香港01「浙江紹興無人駕駛地鐵深夜撞死3名清潔工 官方已提級調查」
https://www.hk01.com/%E5%A4%A7%E5%9C%8B%E5%B0%8F%E4%BA%8B/60279663/%E6%B5%99%E6%B1%9F%E7%B4%B9%E8%88%88%E7%84%A1%E4%BA%BA%E9%A7%95%E9%A7%9B%E5%9C%B0%E9%90%B5%E6%B7%B1%E5%A4%9C%E6%92%9E%E6%AD%BB3%E5%90%8D%E6%B8%85%E6%BD%94%E5%B7%A5-%E5%AE%98%E6%96%B9%E5%B7%B2%E6%8F%90%E7%B4%9A%E8%AA%BF%E6%9F%A5?utm_source=chatgpt.com