李嘉誠氏のパナマ港湾売却、「国家安全法」適用の恐れ

25年4月1日香港 香港の富豪、李嘉誠氏傘下の長江和記実業が、パナマを含む海外港湾の経営権を米企業に売却した取引について、中国当局に近い香港メディア、大公報は3月31日、複数の専門家の見解を引用し、独占禁止法に加え「国家安全法」や「データ安全法」も組み合わせて審査すべきだと提案した。取引に対し、中国当局が国家安全法を適用する恐れがある。台湾メディアの中時新聞網など伝えた。(写真は事件を伝える聯合報のサイト)

 港湾の売却について、中国国家市場監督管理総局は3月28日、「市場の公正な競争を保護するため、法に基づいて審査する」と表明。同局の独占禁止第二局の責任者は3月28日「市場の公正競争を保護し、社会の公共利益を守るため審査を行う」と述べた。

 長江和記実業は3月4日、パナマ運河の両端に位置するバルボア港、クリストバル港を含む、世界43カ所の港湾の運営権を、米ブラックロックなどのコンソーシアムに譲渡する方針を発表。直ちに香港・マカオのメディアが「中国人への裏切り・売国行為」と激しく批判。中国政府香港・マカオ弁公室のサイトが批判記事を繰り返し転載した。

 大公報によれば、北京市康達法律事務所の高級パートナー、苟博程氏は、海外の港湾であっても中国海運会社の運営コストやサプライチェーンの安全に影響を与えるため、当局による審査は「独占禁止法」の域外管轄の原則に適合していると述べた。

 苟氏はさらに「今回の審査は独占禁止法だけにとどまらず、『国家安全法』や『データ安全法』も併せて適用し、港湾システムのデータ安全リスクを評価すべき」と指摘。地政学的対立が海運に及ぼす潜在的な脅威を回避する観点からも必要だと語った。

◇出典

https://www.tkww.hk/a/202503/31/AP67ea7a4ce4b0fbda9a194abf.html

https://www.tkww.hk/a/202503/31/AP67e9ffd3e4b0fbda9a191a58.html

https://udn.com/news/story/7331/8643952?from=udn-catelistnews_ch2

https://www.chinatimes.com/newspapers/20250401000715-260303?chdtv

◇参考情報

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