
全国政協の最終日の3月10日、王滬寧主席が演説を行い習近平国家主席の指導のもと、中国が世界の変動の中で「特異な好景気」を維持できたと述べた。専門家は、現在の国際経済情勢と国内産業構造の調整を踏まえると、中国政府が掲げた5%の経済成長目標の達成は困難と指摘している。
両会では、雇用問題の深刻さも浮き彫りになった。今年の大学・大学院卒業生は前年比43万人増の1222万人となり、過去最高を更新する見通し。王曉萍人的資源・社会保障相は「安定した雇用を維持するための課題は非常に重い」と述べた。また、貧困地域の労働者も3000万人以上おり、農村部からの労働力移動も含めると、就職競争はさらに激化すると予測されている。
国家統計局が10日に発表した最新データによると、2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.7%下降、生産者物価指数(PPI)は2.2%下降といずれも低下。消費低迷の主な要因として、食品価格の下落や自動車市場の競争激化が挙げられ、ガソリン車は5%、電気自動車(EV)は6%それぞれ値下がりした。
英コンサルティング会社パンテオン・マクロエコノミクスの林浩波氏は、「中国の消費と生産の低迷は予想以上に深刻だ」と指摘した。
台湾の淡江大学・蔡明芳教授は「中国経済はデフレと生産過剰が続いており、雇用創出が難しい」と分析。5%の成長目標は「不可能なミッション」になりつつあるとの見解を示した。