中国で人民解放軍高層部の大規模な粛清が続いている。全国人民代表大会(全人代)常務委員会は8月28日、張又侠氏を国家中央軍事委員会副主席から、劉振立氏を同委員からそれぞれ解任した。2022年に7人体制で発足した国家中央軍委は、これまでの相次ぐ失脚により、習近平主席と張升民副主席の2人だけとなった。
米紙ワシントン・ポストは29日、米専門家の分析として、軍最高指揮部の相次ぐ人事刷新が人民解放軍による大規模な軍事衝突への準備能力を短期的に制約する可能性があると報じた。習氏が軍の近代化と台湾を念頭に置いた戦力整備を進める中、最高幹部の大量交代が作戦準備に及ぼす影響が注目されている。
張又侠、劉振立両氏を正式解任
中国国営新華社によると、第14期全人代常務委員会第24回会議は28日、張氏の国家中央軍委副主席、劉氏の同委員の職務を免じることを決定した。
両氏は今年1月24日、「重大な規律・法律違反」の疑いで立案審査・調査を受けることが国防省から発表されており、今回の決定は国家機関での役職を正式に解く手続きに当たる。
中国では中国共産党中央軍事委員会と国家中央軍事委員会が「一つの組織、二つの看板」としてほぼ同じ構成で運営される。ただ、今回の全人代常務委員会の決定で正式に解任されたのは国家中央軍委の職務で、両氏の党中央軍委での職務については今回の公式発表で免職は示されていない。
同日には張氏、劉氏のほか、習氏の側近を務めた鍾紹軍氏らの全人代代表資格も失効した。中国人民政治協商会議(全国政協)も26日、西部戦区司令官を務めた趙宗岐氏について、全国政協常務委員などの職を免じ、委員資格を取り消した。
実戦経験持つ将官も相次ぎ姿消す
趙氏は西部戦区司令官として、2020年に発生した中国・インド国境での衝突時に中国側部隊を指揮した。現在の中国軍では数少ない大規模な実戦・衝突対応の経験を持つ上級将官の一人とされる。
張氏も1979年の中越戦争に参加した実戦経験を持ち、軍内で豊富な人脈を持つ制服組トップだった。このため、軍高官の粛清は単純な人数の減少だけでなく、経験を積んだ指揮官の離脱という側面も持つ。
ワシントン・ポストによると、米中央情報局(CIA)で中国分析を担当したデニス・ワイルダー氏は、最近の粛清が張氏ら失脚した高官とつながりを持つ部下にも広がっているとの見方を示した。習氏が張氏の軍内での影響力がなくなったと判断するまで、こうした動きが続く可能性があるとしている。
「大規模衝突への準備に短期的影響」
米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のザック・クーパー上級研究員は、軍首脳部を大幅に入れ替える一方で習氏が人民解放軍の近代化を推進していることを指摘。その上で、現在の状況について「短期的には、人民解放軍による大規模な衝突への準備を制約する可能性が高い」との見方を示した。
ワシントン・ポストは、習氏が人民解放軍に2027年までに台湾に対する軍事行動への準備能力を整えることを求めていると伝えている。ただ、中国が公式に掲げる2027年の「建軍100年奮闘目標」は軍の近代化を目指すもので、2027年を台湾への武力行使の期限と公式に定めているわけではない。
今回の一連の人事により、国家中央軍委では習主席と張升民副主席だけが残る異例の状態となった。軍の近代化を続けながら、空席となった最高指揮部をどのように再編するかが今後の焦点となる。
(2026年8月31日)
#中国軍 #人民解放軍 #習近平 #張又侠 #劉振立 #中央軍事委員会 #台湾海峡 #中国政治 #軍高官粛清
## 出典:對台動武添變數?美學者:習近平1舉動 短期內限制大規模衝突能力
Beijing expands purge of top generals
関連記事:
【AlertChina】中国軍将官9人の全人代代表資格剥奪 軍高官粛清が拡大 2年で36人資格喪失 張又侠氏は「残留」
https://www.alertchina.com/post-34330/
【AlertChina】張又侠氏の失脚が揺るがす米中軍事対話の基盤 「理性的な窓口」喪失の衝撃
https://www.alertchina.com/post-34112/
【AlertChina】中国軍の機関紙が異例の3日連続批判:張又侠氏ら失脚で「強軍の障害」排除を強調
https://www.alertchina.com/post-34131/
