中国、海外逃亡・不正資産の追跡強化へ 「反越境腐敗法」草案を初審議

中国の「反越境腐敗法」草案が8月25日、北京で開かれた第14期全国人民代表大会常務委員会第24回会議に初めて提出され、審議入りした。草案は全6章47条で、国境をまたぐ汚職事件の捜査や国際協力、企業に求める汚職防止のためのコンプライアンス(法令順守)、違反した場合の法的責任などを定める。会議は8月25~28日に開かれる。

中国政府は、汚職事件の容疑者が海外に逃亡したり、不正に得た資産を国外に移したりするケースへの対応を強化する。草案では、海外に逃亡した容疑者の追跡や不正資産の回収、国外での証拠収集などについて、監察・司法・行政当局が連携して対応する体制を整えるほか、外国との捜査協力などについても規定する。

事件処理や国際協力を強化

中国側は、国境をまたぐ汚職事件では、容疑者や不正資産が海外に移ることで、事件の把握や証拠収集、資産の回収、犯罪の立証が難しくなることを課題としている。草案では、こうした事件を捜査・処理する際の関係機関の役割や国際協力の仕組みを定めるほか、企業に汚職防止のためのコンプライアンス(法令順守)を求め、違反した場合の法的責任についても規定する。

また、外国の法律や措置によって中国の反腐敗捜査や不正資産の回収などが妨げられた場合に、中国側が対抗するための仕組みも設ける。中国政府は、汚職の摘発と予防に加え、海外で捜査や資産回収が妨げられる場合への対応まで含めた法制度を整える方針だ。

中国企業の海外拠点、外資系企業の中国拠点にも関係

草案全文は8月25日午後時点で公表されていない。聯合報は財新の報道を引用し、草案作成に詳しい研究者の話として、中国企業が海外に設けた拠点と、外国企業が中国国内に設けた拠点について、汚職防止のための社内管理や、中国当局が事件を扱う際の手続きを定めることが法整備の主要な目的の一つだと伝えた。海外に逃亡した容疑者の追跡や、国外に移された不正資産の回収についても規定するとみられる。

このため、日本企業を含む外国企業の中国拠点にも、汚職防止のための管理体制の整備などが求められる可能性がある。ただ、対象となる企業や具体的な義務、違反した場合の責任などは、現在公表されている草案の概要からは明らかになっていない。

中国政府はこれに先立ち、2026年に「企業海外廉潔コンプライアンス業務指針」を公表し、中国企業の海外事業を対象に汚職防止策を強化している。同指針では、代理店やコンサルタントなど取引先の事前調査、不適切な手数料やリベートの防止、海外拠点に対する定期的な監査などを求めている。今回の草案は、こうした国境をまたぐ企業活動に伴う汚職を防止するための法制度を整備する動きとなる。

2026年中の制定目指す

反越境腐敗法は2023年、全国人民代表大会常務委員会の立法計画に盛り込まれた。2024年7月の中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議でも、反腐敗に関する法整備を進める方針が示された。2026年3月には趙楽際・全人代常務委員長が、同法を年内に制定する方針を表明した。

今回が草案の初回審議となる。中国側は2026年中の制定を目指しているが、今後の審議日程や具体的な成立時期は明らかになっていない。

出典:

中国新聞社(8月25日)
央視網・新華社(8月25日)
中央通信社(台湾、8月25日)
聯合報(台湾、8月25日)
香港01(3月9日)
中国商務省「企業海外廉潔コンプライアンス業務指針」

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