米、太陽光関連製品に15%関税 中国依存低減へ最低輸入価格も設定 メタディスクリプション 米国がポリシリコンなど太陽光関連製品に15%関税を導入する。最低輸入価格も設定し、中国依存の低減と米国内への生産回帰を促す。 フォーカスキーワード • 米国 太陽光 関税 • ポリシリコン 関税 • 中国 太陽光発電 • 最低輸入価格 • 通商拡大法232条
米国、太陽光関連製品に15%関税
トランプ米大統領は2026年8月6日、輸入するポリシリコンや太陽光発電関連製品に15%の関税を課すとともに、最低輸入価格を設定する大統領布告に署名した。1962年通商拡大法232条に基づく措置で、2026年12月4日に発効する。太陽光発電や半導体のサプライチェーンで中国への依存を減らし、米国内への生産回帰を促す狙いがある。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などが伝えた。 最低輸入価格は、ポリシリコンが1キログラム当たり21ドル、太陽光発電用インゴットとウエハーが同100ドル、太陽電池セルが1ワット当たり22セント、太陽光パネル(モジュール)が同38セントに設定される。 企業は、輸入したポリシリコンや太陽光発電関連部材を別の企業に最初に販売する際、その価格が最低輸入価格を下回らないことを証明する必要がある。輸入時に一定の価格を申告した後、より安い価格で販売し、措置の効果を損なう行為を防ぐ。米国内に製造施設を建設することを約束した企業は、関税の適用除外を申請できる。
中国製太陽光製品の安値販売を抑制
ラトニック米商務長官は2026年8月6日の署名式で、「これによってサプライチェーンを米国に呼び戻す」と述べ、中国企業が安価な製品をダンピングできないよう最低価格を設定し、関税によって米国内での生産を促す考えを示した。 中国は現在、世界の太陽光発電関連製品の製造能力の約80%を占める。米国の太陽光発電関連メーカーや半導体メーカーは、中国製の安価な製品の大量流入が米国内の工場を圧迫しているとして、関税による保護を求めてきた。中国製品の一部は、中国に対する既存の関税を回避するため、第三国を経由して米国に輸出されているという。 ポリシリコンは高純度のシリコン材料で、半導体や太陽光発電製品などに使用される。太陽電池向けでは、ポリシリコンからインゴットを製造し、薄く切断してウエハーとする。ウエハーから太陽電池セルを製造し、複数のセルを組み合わせて太陽光パネルを作る。
通商拡大法232条に基づき国家安全保障を調査
今回の関税は1962年通商拡大法232条に基づき米商務省が運用する。同条は、商務省による調査を経て、国家安全保障上重要だと大統領が判断した輸入製品について、追加関税や輸入割当などの制限措置を講じる権限を大統領に認めている。 米商務省は2025年7月、ポリシリコンと関連製品の輸入が米国の国家安全保障を脅かしているかどうかを判断し、脆弱性を軽減するために必要な関税水準を検討する調査を開始した。半導体そのものは今回のポリシリコンを対象とする関税措置には含まれない。 米シンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」の上級研究員シングルトン氏は、中国が補助金と長期的な生産能力過剰を背景にポリシリコン分野で支配的な地位を確立したと指摘した。最低価格と関税を組み合わせることで、米国メーカーが生き残る余地を確保できる可能性があるとの見方を示した。
台湾メーカー、15%関税の影響は限定的と評価
台湾の中央社が2026年8月7日午前8時50分に報じたところによると、台湾の太陽光発電関連企業は今回の措置による実質的な影響は限定的とみている。 台湾の太陽光発電メーカー、元晶太陽能科技(TSEC)の江郅豪副総経理は、米国向け太陽光発電関連製品では、台湾製品に適用される関税率が中国や東南アジアのメーカーより低いと指摘した。今回の15%関税も多数ある貿易障壁の一つであり、台湾メーカーへの影響は限定的で、市場構造を根本的に変えることはないとの見方を示した。 江氏は、米国にはポリシリコンの生産能力があるものの、生産規模に制約があり、短期的に輸入需要を完全に代替することは難しいと分析した。このため、新たな関税はサプライチェーンを根本的に変えるというより、米国市場の調達コストを押し上げる可能性が高いとした。 台湾の聯合再生能源(URE)は、具体的な影響は対象製品や適用除外条件などによって異なると説明した。台湾太陽光電産業協会は、米国が中国のサプライチェーンへの依存低減を進めることで、製品の供給元やトレーサビリティーが一段と重視されるとの見方を示した。
中国は米国の制裁に対抗措置
中国商務省はこれに先立つ2026年8月5日、ドローン関連のデュアルユース(軍民両用)品目の対米輸出管理強化や、米国の7つの企業・団体を反制裁リストに追加することなど計5項目の対抗措置を発表した。 中国側は米国が最近相次いで打ち出した対中制裁への対抗措置としており、一連の措置は「全体として抑制的だ」と強調した。一方、米国が新たな制限措置を打ち出した場合には「中国側はさらなる対抗措置を取る」と警告している。
出典
関連記事
- トランプ氏が中国に警告、イラン軍事支援なら50%関税 中東情勢と米中関係が同時緊張
- 米最高裁がトランプ関税に違憲判断 3月末の訪中を前に習近平政権が貿易交渉で優位か
- トランプ氏が2026年4月初旬に訪中へ 習近平氏と北京で会談し貿易休戦を1年延長か
- 中国の2025年貿易黒字が1.2兆ドルの過去最高を更新、トランプ関税下で輸出先多角化、EVなど「新三様」が躍進
- 米、対中半導体関税を2027年実施へ|トランプ政権の「猶予18カ月」が示す戦略とアップル、テスラへの影響を解説
- 習・トランプ会談、米中対立の「一時停止」 関税・レアアース・AI覇権を巡る駆け引き
- 米中首脳会談、釜山で開催 関税・レアアース・AI覇権を巡る駆け引き フェンタニル問題も
- 米中貿易戦争の危機回避へ:クアラルンプール交渉が「枠組み」合意、100%関税回避とレアアース規制延期、大豆購入再開へ
- 米中貿易戦、米国の港湾利用料に中国が報復措置「特別港務費」発動
- トランプ氏「中国に計104%関税」 中国「付き合う」
#米国 #中国 #太陽光発電 #ポリシリコン #関税 #米中関係 #通商拡大法232条 (2026年8月7日)
