2026年7月29日
中国商務部は28日、「いわゆる『過剰生産能力』問題に関する中国側の立場」と題する文書を公表し、米国が通商法301条に基づき中国など主要貿易相手国の過剰生産能力を対象とした調査を開始したことに全面的に反論した。米国には貿易相手国の「過剰生産能力」を一方的に認定する権限はないと主張するとともに、必要に応じて対抗措置を講じる考えを示した。
米国の301条調査に中国が反発
米通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表は27日、中国、欧州連合(EU)、日本、シンガポール、ベトナム、メキシコなど16の主要貿易相手を対象に、製造業の「構造的な過剰生産能力」に関する301条調査を進めていると表明した。調査結果を踏まえ、追加関税を含む措置を勧告する可能性があるとしている。
これに対し、国務院新聞弁公室で開かれた記者会見で、中国商務部政策研究室の林衛龍主任は、米国の対応について「典型的な一国主義(ユニラテラリズム)の行為であり、国際経済秩序を著しく破壊するものだ」と批判した。国内需要を上回る生産能力を狭義に「過剰生産能力」と定義し、「過剰」のレッテルを貼ることはできないと指摘した上で、301条調査を通じて貿易相手国に過剰生産能力が存在するかどうかを一方的に認定し、単独で制限措置を講じる権限も米国にはないと主張した。
林氏は、米国に対し誤った対応を改め、対話と協議による問題解決という正しい軌道へ戻るよう求めた。また、中国政府は事態の推移を注視し、必要な措置を講じる権利を留保しており、自国の正当な権益を断固として守る考えを示した。
| 米国の見解 | 中国(大陸)側の対応 | |
| 生産過剰 | 米国通商代表部(USTR)のグリア代表は、米国が301条に基づき関税調査を開始したと表明。中国、ベトナム、EUを含む工業生産過剰問題に対応するためであり、追加関税につながる可能性があるとした。 | 中国商務部政策研究室の林衛龍主任は、国内需要を超える生産能力を狭義に「生産過剰」と定義すべきではないと指摘。米国に対し誤った対応を是正し、対話と協議を通じて問題を解決するよう求めた。 |
| 強制労働 | 米国は強制労働を理由に、7月24日より中国に対して12.5%の関税を科した。 | 強制労働の存在を否定し、あらゆる必要な措置を講じる権利を保留するとした。 |
| 考えられる影響 | 米中関税戦が再燃し、今年9月に予定されている「トランプ・習近平会談」が取り消される可能性がある。 |
出典:聯合報
「貿易黒字は過剰生産能力を意味しない」
同日公表した立場文書では、「過剰生産能力」は市場経済における動的な現象であり、需給の変化や産業のライフサイクルの影響を受け、「均衡―不均衡―再均衡」の循環を繰り返すものだと説明した。均衡は相対的な概念であり、不均衡は市場経済では一般的な現象であるとした。
また、国際的には設備稼働率(産能利用率)が過剰生産能力を判断する指標として用いられるものの、適正な水準は経済体ごとに異なり、世界共通の判断基準は存在しないと説明した。その上で、中国の工業部門全体の設備稼働率はおおむね合理的な範囲にあり、工業全体でも需給は基本的に均衡していると強調した。
さらに、「輸出が多く、貿易黒字が大きいことは過剰生産能力を意味しない」と指摘。貿易黒字は国際的な産業分業や需給構造が共同で作用した結果であり、それ自体が過剰生産能力の証拠ではないとした。産業補助金についても、世界貿易機関(WTO)加盟国に認められた合法的な政策手段であり、過剰生産能力との必然的な関係は存在しないと説明した。
中国は輸入拡大とEUとの対話継続を強調
中国商務部対外貿易司の賀少軍氏は、中国は貿易黒字を意図的に追求したことはなく、今後も輸出入の均衡ある発展を推進すると表明した。市場開放を継続するとともに、国際見本市との連携や重点調達、輸入手続きの利便性向上などを通じて輸入を拡大する方針を示した。今年上半期(1~6月)の貨物貿易では、輸入の伸び率が22.1%となり、輸出の伸び率を上回ったことも明らかにした。
欧州との経済・貿易摩擦については、林氏はEUが人民元相場を巡る問題を取り上げていることに対し、「中国製造業は十分な国際競争力を備えており、人民元を過小評価して輸出を促進する必要はない」と反論した。また、王文濤商務部長が6月末にEUのマロシュ・シェフチョビッチ貿易担当欧州委員と第1回中欧貿易・投資協議メカニズム会議を開催し、「安定的で均衡の取れた中欧の重要な貿易パートナー」という新たな位置付けについて共通認識に達したことを紹介した。
「中国圧迫論」は「中国脅威論」の新たな形
近年、一部の国際シンクタンクやメディアが提起している「中国圧迫論(China Squeeze)」についても、中国側は反論した。商務部の鄢東副部長は、中国企業は海外に5万社以上を設立し、対外直接投資残高は3兆ドルを超え、その約9割が発展途上国・新興国に分布していると説明した。その上で、「中国圧迫論」は「中国脅威論」の新たな論調に過ぎず、中国とグローバルサウス諸国との協力を妨げ、自らの歴史的・現実的責任を転嫁しようとするものであり、発展途上国を真に支援する意図はないと批判した。
出典
- 中央社:中国、過剰生産能力問題で立場表明
- 星島頭條:米301条調査に中国商務部が反発
- 工商時報:米301条調査に中国が反論
- AASTOCKS:商務部「301調査は国際経済秩序を破壊」
- 経済日報:中国が過剰生産能力問題で立場表明
