中国が対外投資の厳格審査ルールを7月施行 技術・データ流出防止へ、違反には投資額の10%の罰金も

Busy harbor scene with hundreds of colorful shipping containers and tall blue gantry cranes along the dock by the water.

中国国務院、対外投資の新規則を7月施行=技術流出に巨額罰金

中国国務院は、対外投資の法的枠組みとなる新規定を7月1日に施行する。国内の企業や組織、個人によるすべての対外投資を対象とし、国家安全を脅かす技術やデータの海外流出を厳格に阻止する。香港、マカオ、台湾地区への投資にも準用する。台湾紙の聯合報などが伝えた。

新規定では、輸出禁止・制限対象の貨物や技術、データの出荷・使用を禁じるだけでなく、技術人員の派遣や現地での技術指導、研修の手配など「人を介した移転」も網羅的に規制する。背景には、米メタによる中国人工知能(AI)企業の買収計画を中国当局が差し止めた今春の騒動があるとみられる。

違反者への罰則は厳格で、禁止項目への投資や是正拒否に対しては、投資活動の停止や資産処分を命じるほか、最高で投資額の10%に相当する巨額の罰金を科す。また、中国の投資家に差別的措置を講じる外国の組織や個人に対し、当局が相応の対抗措置を講じることも明記した。

厳格化の引き金となったAI企業買収騒動と「十五五」の政策意図

今回の厳格化の直接的な引き金となったのは、2026年4月に表面化した米IT大手メタ(Meta)による中国のAIスタートアップ企業「Manus」の買収計画である。中国国家発展改革委員会(発改委)はこの計画を急遽差し止め、同社の中国籍創業者2人を重要会議に呼び出した後、事実上の出国禁止処分とした。この強硬な措置は世界のテック業界や投資家に大きな衝撃を与えたが、今回の法制化によって、一連の動きが偶発的なものではなく、国家主導の計画的な防衛策であったことが裏付けられた。

中国メディアの《証券時報》によると、背景には国家の経済戦略である「第15次5カ年計画(十五五)」策定綱領が存在する。同綱領では「制度の確定性をもって外部環境の不確実性に対応する」ことが明確に打ち出されている。これまで中国の対外投資秩序を乱す行為や、海外での「抜け道」を利用した技術移転に対する上位法の規制が不十分であったことから、国家主報による法治の支えが急務となっていた。米国を中心とする対中ハイテク包囲網が強まるなか、自国で育成した最先端技術の果実を守り抜くという強固な意志が、このタイミングでの法制化へとつながっている。

「人を介した技術移転」の全ルート遮断と産業構造への影響

新規定において最も注目されるのは、物品やデータの直接的な輸出だけでなく、「国境を越えた人の移動」を介した技術移転を包括的に禁止・制限した点である。《規定》第13条では、技術人員の海外派遣、他国での勤務を目的とした人員組織、国境を越えた技術指導の提供、さらには人員の海外研修の手配にいたるまで、政府の許可なき行為を全面的に封じた。これにより、海外子会社の設立や出資を大義名分とした、実質的な技術・データの海外流出ルートは完全に遮断される。

さらに第14条および第15条では、為替、データ流通、M&A(事業者集中)審査、サイバーセキュリティ、国有資産管理などが網羅され、国家安全に影響を与える可能性のあるすべての海外投資に対して、国務院の投資主管部門や商務省(商務部)などが共同で厳格な安全審査を行う体制が整えられた。これは、先進的なAI、半導体、新エネルギーなどの重要産業において、中国国内のサプライチェーンとコア技術を完全に囲い込む産業構造の変革を意味している。

投資額10%の巨額罰金と差別的措置への強力な対抗手段

違反行為に対するペナルティは、これまでにないほど過酷である。国家が禁止する対外投資を行った場合、あるいは当局の是正命令や資産処分命令を拒否した場合は、投資額の5%以上10%以下の罰金(過料)が科される。また、虚偽の資料提出や不正な手段で認可・届出(核準備案)を取得した場合も投資額の1%以上5%以下の罰金、すでに投資が実行されている場合は最大10%の罰金が容赦なく適用される。さらに、処罰確定から3年間は新規の投資申請が受理されず、最長3年間の対外投資活動禁止という事実上の市場追放処分も下される。

一方で、新規定には「対抗措置(反制)」の概念が色濃く反映されている。投資目的国で貿易障壁や経営障害に直面した場合、国務院は調査を行い、進出口(輸出入)の制限などを講じることができる。また、中国の主権や発展利益を脅かす、あるいは中国の投資家に差別的な措置を講じる外国の組織や個人に対し、当局が相応の報復措置を講じる権利を明文化した。

中国当局の責任者は「市場化の原則に基づく自主的な対外投資は引き続き支持する」と説明し、リスクや損益は自己負担(自負盈虧)であると強調している。しかし、この文言は裏を返せば、国益に反する投資や技術流出を招く行為に対しては国家が一切の容赦をせず、すべての責任を企業や個人に負わせるという強力な牽制とみるべきである。

[出典]

[関連情報]

#中国 #対外投資 #技術流出 #規制 #国務院

タイトルとURLをコピーしました