](https://www.alertchina.com/wp-content/uploads/2026/06/120-1024x731.jpg)
中国海警局、台湾東方海域でパトロール 日比に対抗
中国海警局の姜略報道官は1日、艦船「岱山」の編隊が台湾東方海域で領海警備などを目的としたパトロールを行ったと発表した。日本とフィリピン両政府が5月28日に排他的経済水域(EEZ)と大陸棚の境界画定交渉の開始で合意したことを受け、中国側が対抗行動に出たものとみられている。
姜報道官は、日比による交渉開始の発表を「中国の主権の深刻な侵害」と断定し、パトロールは必要な行動だと主張。中国外務省は「交渉は違法で無効」として両国に厳重に抗議し、対抗措置を強めている。
日比政府が合意した対象は、日本の与那国島や波照間島から、フィリピン最北端のバタン諸島に挟まれた海域とみられる。幅が400カイリ(約741キロ)未満で互いのEEZが重複するため、国連海洋法条約に基づく境界画定を目指す。
この海域は台湾からも近く、台湾自身も主権やEEZを主張できる当事者である。台湾外務省は、日比両国が国際法に準拠し平和的に海洋問題を解決する姿勢を肯定している。同時に、同海域の主権を「中国の領土」として勝手に代表して日比の交渉に介入し、艦船まで派遣した中国に対し、台湾外務省は「台湾の領土や海域の主権に中国が口を挟むことは容認できない」と猛反発している。
重複する排他的経済水域と日比交渉の背景
今回の摩擦の引き金となったのは、日本の高市早苗首相とフィリピンのマルコス大統領が5月28日に発表した包括的・戦略的パートナーシップに関する日フィリピン共同声明である。両国リーダーは、地域の法的安定性を高めるため、国際法、特に国連海洋法条約(UNCLOS)の関連規定に基づき、また関連する国際判例を参考にして、両国間のEEZおよび大陸棚の海洋境界を画定するための正式交渉を開始することを決定した。
対象となる海域は、日本最南端の島嶼群である与那国島や波照間島などと、フィリピン最北端のバタン諸島にあるイトバヤット島、ヤミ島などに挟まれた領域である。この海域の幅は400海里に満たないため、双方のEEZの権利主張が重なり合う。国際法に則って平和的な線引きを試みる日比双方の動きは、海洋秩序の安定化に向けた正当な外交プロセスであると言える。
しかし、この中間区域に最も近い陸地は台湾であり、ここに中国の複雑な領有権主張が絡んでくる。中国政府は「台湾は中国の領土である」という原則を掲げており、この論理を適用すれば、当該海域の境界画定において中国も当事者ということになる。このため、日比が中国を排除した形で二国間交渉をスタートさせたことに対し、中国側は強い危機感を抱いている。
中国外交部の毛寧報道官は5月29日の記者会見で、日比が設定した境界画定予定海域が台湾島東方に位置することを強調し、中国の国内法および国際法に基づいて中国がEEZと大陸棚を有していると主張した。中国側は「日比の独断による交渉開始は中方の海洋権益を深刻に侵害するものであり、完全に不法かつ無効である」として、日比両国に対して厳重な申し入れ(交涉)を行った。
さらに、中国の官製メディアである中央テレビ(CCTV)や傘下の新メディアアカウント「玉淵譚天」は、海洋専門家の楊霄氏の分析を引用し、日比側の冒進行為に対して中国は「歴史的かつ前例のない手段で対抗する」との警告を発していた。6月1日に実行された中国海警局による艦船「岱山」の派遣と巡回は、まさにこの警告を具現化した実力行使であり、現状変更を許さないという中国の強い意思表示である。
台湾の海洋主権と東アジアの安全保障への影響
一方で、当事者である台湾の外交部(外務省)は、中国の動きに対して真っ向から反論している。台湾外交部は、日比両国が平和的な対話と国際法規範によって海洋問題を解決しようとすることを高く評価し、日米台の連携による地域の平和と安定への貢献に期待を示した。同時に、中国の報道官が今後の日比の交渉範囲に台湾海域が含まれているとし、中国がその主権を代行するかのように振る舞ったことについて、「台湾の領土および海域の主権的権利に中国側が口を挟むことは容認できない」と厳重に駁斥した。台湾自身のEEZや主権が及ぶ海域において、中国が勝手に当事者面をして介入してくることへの強い拒絶である。
国際影響の観点から見れば、今回の事態は単なる二国間の境界紛争に留まらず、第一列島線周辺における安全保障環境を大きく揺るがす可能性を秘めている。日比の連携強化は、南シナ海や台湾海峡で威圧的な動きを強める中国に対する抑止力構築という側面を持つ。これに対し、中国は海警局という準軍事組織を台湾東方海域という戦略的要衝に展開させることで、日比台の結びつきを分断し、自国の海洋権益の範囲を実効支配化しようと目論んでいる。中国海警局による「警備巡回」の常態化は、台湾有事の際における封鎖作戦の予行演習とも捉えられ、周辺国の防衛当局に強い緊張を与えている。
海洋境界の画定は本来、法と対話に基づく極めて専門的な手続きであるが、東アジアにおいては、主権問題や安全保障上の地政学的意図と直結せざるを得ない。日比による法秩序の維持に向けた取り組みと、それに対抗して実力行使を辞さない中国、そして自国の存在と主権を守ろうとする台湾という、三者の思惑が交錯する中で、台湾東方海域の緊張は今後も継続するものとみられる。
[出典]
- 大陸海警巡台灣以東海域 反制日菲海域劃界談判 | on.cc東網
- 針對日菲 中國海警在台灣以東海域展開「執法巡查」 | 中央社
- 中国就日本与菲律宾启动两国海洋划界谈判提出严正交涉 | 法国国际广播电台 (RFI)
- 香格里拉對話 | 星島頭條
- 聯合新聞網
[関連情報]
- スカボロー礁に国家級自然保護区を設置 フィリピンは「占領への布石」と反発
- 米軍「タイフォン」ミサイル、日本で初公開 中国は撤去要求
- 中国海警船が南シナ海で自国軍艦と衝突 国内で報道規制
- 南シナ海サンディー礁で中比の争い激化 相互に上陸
- 中国当局、フィリピン人3人をスパイ容疑で逮捕
- 比大統領、米中距離ミサイル移設を中国に提案
- 中国海警がフィリピン政府船に放水砲 比政府が非難
- 中国軍ヘリ比小型機に接近 「領空」から排除狙う
#日比関係 #海洋境界画定 #中国海警局 #排他的経済水域 #台湾海峡 #東アジア安全保障

