米中首脳会談後に台湾有事リスク高まる トランプ氏側近が警戒、「5年内に武力行使の恐れ」

米中首脳会談後に高まる台湾有事リスク

 米ニュースサイトAxiosなどによると、米国のドナルド・トランプ周辺の一部顧問は、先に北京で行われた米中首脳会談を受け、中国が今後5年以内に台湾へ武力行使に踏み切る危険性が高まっていると懸念している。

 顧問の1人はAxiosに対し、「習近平は、中国を『台頭する大国』ではなく、『米国と対等な大国』として位置付けようとしている。その意味は『台湾は中国のものだ』ということだ」と語った。

 さらに、「今回の訪中は、今後5年以内に台湾問題が主要議題として交渉のテーブルに載る可能性が大幅に高まったことを示した」と指摘した。

 トランプ氏は今回の北京訪問で、中国側が用意した大規模な歓迎行事や異例の待遇を高く評価したとされる。一方、側近らは、表面的な友好ムードとは裏腹に、米中双方の戦略認識には大きな隔たりが存在していたとみている。

 背景には、中国側が台湾問題を「核心的利益」と位置付け、従来以上に対米圧力を強めている現状がある。中国は近年、台湾周辺で軍事演習を常態化させており、軍用機や艦艇による圧力を継続している。

 西側情報機関の一部では、「習近平氏が2027年までに台湾侵攻準備を整えるよう軍に指示した」との分析も出ている。2027年は中国人民解放軍創設100周年に当たり、中国軍近代化の節目とも重なるため、米国安全保障関係者の警戒感は強い。

半導体供給網への衝撃と米企業の危機感

 今回の報道で特に注目されているのが、台湾有事が世界の半導体供給網へ与える影響である。

 別のトランプ氏側近は、「米国経済は全く準備できていない。半導体サプライチェーンの自給自足には程遠い。企業経営者や米経済全体にとって、半導体供給網ほど切迫した問題は存在しない」と述べた。

 台湾には、世界最先端の半導体受託生産を担うTSMCなどが集積しており、AI向け高性能半導体の生産拠点として世界経済を支えている。特に米国のAI企業やクラウド事業者は、台湾製先端半導体への依存度が極めて高い。

 米国は近年、国内半導体産業の再建を進めているが、製造能力や人材、素材、装置などの面で、台湾依存から完全に脱却するには長期間を要するとみられている。

 トランプ氏も訪中後のFox Newsのインタビューで、「台湾は米国の半導体産業を奪った」と発言した。これは米国内で広がる産業空洞化への不満を反映したものとみられる。

 一方でトランプ氏は、「米国の対台湾政策に変更はない」と強調しつつ、「誰かが独立を宣言することは望まない。9500マイルも飛んで戦争をしたいとは思わない。双方に冷静になってほしい。中国にも冷静さを望む」と述べた。

 この発言は、従来の「戦略的曖昧さ」を維持しながらも、台湾独立を積極的には支持しない姿勢を示したものとして注目を集めている。

台湾側は「中華人民共和国に属さない」と強調

 一方、台湾側は中国の圧力に対抗する姿勢を鮮明にしている。

 5月17日、台湾の頼清徳は、与党・民主進歩党創党40周年記念行事の青年座談会に出席し、「台湾独立」とは、台湾が中華人民共和国の一部ではなく、中華民国と中華人民共和国が互いに隷属しないことを意味すると語った。

 頼氏は、「台湾の未来のためには、国家主権を守り、台湾の民主主義を維持し、国民を守るために団結し続ける必要がある。国家主権がなければ民主主義は存在しない」と述べ、「台湾があってこそ主権と国家が存在する」と強調した。

 台湾では1990年代以降、民主化が進展し、台湾独自のアイデンティティーを重視する世論が拡大している。現在の民主進歩党政権は、中国本土との政治的統一に否定的な立場を取っている。

 一方、中国側は台湾を「反乱省」と位置付け、「独立宣言があれば武力行使も辞さない」と繰り返し警告している。米中対立が激化する中、台湾問題は安全保障だけでなく、半導体、AI、サプライチェーン、海上物流、エネルギー安全保障など、世界経済全体に影響を及ぼすリスク要因として急速に存在感を高めている。

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