
トランプ氏、9年ぶり訪中へ エヌビディアCEOら同行
トランプ米大統領は13日夕、約36時間の訪中日程のため北京に到着する。現職の米大統領の訪中は2017年以来、9年ぶり。明日の習近平国家主席との首脳会談を前に、トランプ氏はSNSで「驚くべき国への訪問が楽しみだ。両国に良いことが起きる」と意欲を示した。香港紙の星島日報が伝えた。
今回の訪問には、米主要企業のトップ16人で構成される「豪華代表団」が随行している。当初、名簿から外れていると報じられていた人工知能(AI)向け半導体最大手エヌビディアのジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)だが、給油地のアラスカで大統領専用機「エアフォースワン」に搭乗し、急遽同行したことが判明した。ホワイトハウスは、スケジュールの都合がついたためと説明している。
代表団にはテスラのイーロン・マスク氏やアップルのティム・クック氏らも名を連ね、米中間の経済協力やAIチップの輸出規制緩和を巡る交渉が焦点となる。首脳会談では、中国による米国産農産物の買い入れ拡大や、ボーイング機の大型受注など、具体的な交渉の成果が発表される見通しだ。
「エアフォースワン」への急遽搭乗が示す政治的思惑と背景
路透社(ロイター)が複数の情報筋を引用して報じたところによれば、ジェンスン・ファン氏の同行は劇的な展開を辿った。11日の時点では、ホワイトハウスが発表した同行CEOリストにファン氏の名前はなく、ワシントンの対中強硬派による意図的な排除との見方が強まっていた。しかし、ファン氏はエアフォースワンがアラスカで給油停車した際に機内に姿を現した。ホワイトハウスのスティーブン・チャン報道官はブルームバーグに対し、スケジュールの調整がついたことが理由だとしているが、土壇場での「合流」は米中間の水面下での激しい交渉を物語っている。
エヌビディアにとって中国は極めて重要な市場だが、米政府の輸出規制により、最先端の「H200」チップなどの対中供給は厳しく制限されている。同社は現在、中国市場向けの初期モデル輸出許可を米中両政府から得ようと奔走しており、今回のファン氏の同行は、トランプ氏に対して直接、産業界の窮状を訴える貴重な機会となる。ファン氏は今月初め、「中国は最先端チップを持つべきではない」としつつも、市場としての不可欠性を説いてきた。この「バランス外交」が、今回の訪中でどのような成果を結ぶかが注目される。
今回の代表団で注目すべきもう一人の人物は、イーロン・マスク氏だ。マスク氏はかつてトランプ氏と不仲が伝えられたが、今回は大統領専用機に同乗して北京へ向かうなど、密接な関係修復を印象づけている。テスラ上海工場の運営や、中国での完全自動運転(FSD)技術の展開を有利に進めたいマスク氏と、中国への揺さぶりを強めたいトランプ氏の利害が一致した形だ。
巨額受注と農業合意、米中関係の「定盤星」としての元首外交
今回の首脳会談における経済的実利の柱は、ボーイング機の大型受注と農業分野での合意だ。関係筋によると、中国側は「737 MAX」約500機を含む、過去最大規模の購入を検討している。これは2017年以来の大型案件となり、米中間の貿易赤字解消を掲げるトランプ政権にとっては大きな「勝利」となる。
また、農業分野では、中国が米国産のトウモロコシやソルガム、牛肉、鶏肉などの買い入れを大幅に増やす見通しだ。中国の何立峰副首相と米国のベセント財務長官は、首脳会談に先立ち経貿協議を重ねており、すでに成果リストの最終調整に入っている。
新華社は、米中関係が紆余曲折を辿る中で、元首外交こそが関係を安定させる「定盤星(羅針盤)」であると強調している。ワシントン側にはエヌビディアのファン氏を一時的に名簿から外すことで北京に「ハイテク規制の手綱は緩めない」とのシグナルを送る意図があったとの分析もあるが、最終的な同行は、トランプ氏が「取引(ディール)」を最優先する姿勢を改めて示したと言える。
代表団にはゴールドマン・サックス、ブラックロック、ブラックストーンといった金融大手のトップも参加しており、米中金融市場の相互開放についても議論される可能性がある。産業界の巨頭が集結する今回の訪中は、単なる友好訪問ではなく、AI時代の覇権と巨大な市場利益を天秤にかけた、極めて高度な「博弈(駆け引き)」の場となる。
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