トランプ訪中代表団にマスク氏ら同行、ジェンスン・ファン氏除外の波紋

Tech presenter in a black jacket points as he holds a GPU motherboard during a talk, headset mic on.

米大統領に同行の経済代表団 エヌビディアCEOは除外

トランプ米大統領は14日、トップ企業のCEO(最高経営責任者)ら10数人で構成される「豪華代表団」を率いて北京を訪問する。代表団には、テスラのイーロン・マスク氏やアップルのティム・クック氏、ボーイングのケリー・オートバーグ氏らが名を連ねる一方、人工知能(AI)チップ最大手エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは除外された。台湾メディアの中時新聞網などが伝えた。

一方で、訪中への意欲を示していたファン氏の除外は波紋を広げている。背景には、米国の輸出規制により同社の中国市場シェアが激減し、中国向け「H200」チップの生産停止に追い込まれた現状があるとみられる。また、規制緩和を求めてきた同氏を外すことで、対中ハイテク競争の「レッドライン」を強調するワシントンの政治的思惑も指摘されている。

ホワイトハウスは今回の訪中の焦点を農業、金融、民間航空に置いている。特に注目されるのは、長年停滞していたボーイング機の大型受注だ。関係筋によれば、737MAX約500機を含む史上最大規模の契約が訪中期間中に発表される見通しで、米中首脳会談の大きな成果となることが期待されている。

巨額受注狙うボーイングと対照的なエヌビディアの苦境

今回の代表団には、ボーイングのほか、GEエアロスペース、クアルコム、マイクロン、さらにはブラックロックやブラックストーンといった金融大手のトップが集結した。ホワイトハウス当局者によれば、今回の訪問は「実利」を重視したものであり、中国側が米国の農産物やエネルギー、そして航空機の購入を約束する見返りに、米中間の貿易摩擦を緩和させる狙いがある。

中でもボーイングは、2017年以来途絶えている中国からの大型受注を渇望している。現在、中国国内では国産旅客機「C919」の量産が進んでおり、ボーイングの市場独占が脅かされている。トランプ政権にとって、ボーイングの受注獲得は米国内の雇用維持と対中貿易赤字削減の象徴的な成果となる。

これに対し、エヌビディアの状況は対照的だ。ジェンスン・ファン氏は先週のインタビューで「代表団への参加は極めて大きな名誉だ」と前向きな姿勢を見せていたが、最終的にホワイトハウスは同氏を招かなかった。エヌビディアの中国市場におけるAIアクセラレータのシェアは、度重なる米政府の輸出規制によって「実質ゼロ」にまで低下している。中国向けに設計された「H200」チップも、中国政府の購入許可が下りないことや通関の滞りから、エヌビディア側が生産停止を余儀なくされた経緯がある。トランプ政権の取引重視の論理では、中国で売るべき製品を持たず、商談の余地が乏しい企業の同行は不要と判断された格好だ。

「レッドライン」を巡る政治的思惑と産業界への警告

ファン氏の除外には、単なるビジネス上の計算だけでなく、ワシントンの安全保障強硬派による政治的な意図が色濃く反映されている。エヌビディアはこれまで、巨大な中国市場を維持するために米政府へ規制緩和を繰り返し訴えてきた。しかし、バイデン政権からトランプ政権へと引き継がれた対中半導体封鎖の網は、AI技術の軍事転用を恐れる国防総省や商務省によって一段と強化されている。

同じ半導体企業でも、マイクロンやクアルコムのCEOが代表団に含まれた事実は示唆に富む。マイクロンは対中半導体規制を推進する法案を支持する立場を明確にしており、ワシントンの政策方針と足並みを揃えている。一方、規制に批判的な言動を見せてきたファン氏を排除したことは、ハイテク企業に対して「国家安全保障のレッドラインを越えて中国と手を結ぶことは許されない」という無言の警告であると分析される。

同行するイーロン・マスク氏の存在も注目に値する。テスラにとって中国は世界最大の生産拠点であり、かつ重要な市場だ。マスク氏は最近トランプ氏との関係を修復しており、トランプ政権下での自動運転技術の承認や、中国市場での優遇措置維持を狙っている。トランプ氏はマスク氏を「対中開放」の象徴として利用しつつ、交渉の核心ではボーイングなどの実益を優先させるという、極めて現実的な外交戦術を展開している。

今回のトランプ訪中は、純粋な経済協力の枠組みを超え、各企業の対中姿勢を試す場となっている。招待された企業と、門前払いを受けたエヌビディア。この明確な線引きは、今後の米中ハイテク戦争において、米政府がどの企業を「身内」と見なし、どの企業を「監視対象」とするかを鮮明に浮き彫りにした。

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