中国の代理人活動を認める 米カリフォルニア州の女性市長が辞職 地方政治への浸透工作が表面化

中国の代理人活動を認める 米カリフォルニア州の女性市長が辞職

米司法省は11日、カリフォルニア州アーケイディア市のエイリーン・ワン(王愛琳)市長(58)が、中華人民共和国の不法な代理人として活動した連邦重罪の容疑で起訴され、有罪を認めることに合意したと発表した。これを受け、市議会公式サイトは同日付でワン氏が市長職を辞任したことを明らかにした。台湾の中央通信社などが伝えた。

司法省の起訴状によると、ワン被告は2020年末から22年にかけて、共犯者の孫耀寧受刑者(65)と共謀し、現地中国系コミュニティ向けサイト「米国新聞中心(US News Center)」を運営。中国当局者の指示を受け、新疆ウイグル自治区での強制労働を否定する記事や親中派の宣伝内容を拡散した。また、2023年の蔡英文前総統の訪米時には、その詳細な行程を中国領事館に報告していた。

検察の証拠では、孫受刑者が中国当局に対し、ワン被告を「新興の政治スター」と報告し、22年の市議選当選に向けて裏で支援していた実態も判明した。孫受刑者はすでに外国代理人登録法(FARA)違反などで禁錮4年の実刑判決を受けている。

今回の辞任は、中国による米地方政治への浸透工作が表面化した形だ。連邦検察官事務所の広報官は「敵対勢力による政治体系への介入は容認しない」と強調した。ワン被告には最高で禁錮10年の刑が科される可能性がある。

中国当局による政治浸透と工作の実態

司法部の声明および検察の指摘によると、ワン被告は共犯者の中国系男性、ヤオニン・スン(孫耀寧)受刑者とともに、長期にわたり中国政府当局者のために活動を続けてきた。両被告が共同運営していた「米国新聞中心」は、一見すると現地の中国系住民向けニュースサイトを装っていたが、実態は北京の利益を促進するための情報戦の拠点であった。

孫受刑者は2022年から2024年にかけて、明確に中国政府の指揮下で活動していたことを認めている。同受刑者は2022年のワン被告の選挙戦で財務担当を務めており、二人はかつて婚約・交際関係にあった。ワン被告は昨年5月の時点では疑惑を全面的に否定し、婚約も解消したと主張していたが、今回の司法取引により、その主張が虚偽であったことが事実上証明された。

特筆すべきは、中国当局が米国の選挙制度を巧みに利用し、親中派の政治家を育成しようとする「産業構造」とも呼べる組織的な動きである。検察側が提示した証拠によれば、孫受刑者は中国当局に対し、2022年の中間選挙でワン被告を指す「ケース1」の当選を成功させたと報告。さらなる資金援助と新たな任務を求めていた。また、孫受刑者はすでに外国代理人として登録されている「EDI Media(龍鷹電視)」の資源を不透明な形で導入し、傘下の「iCity News(城市新聞網)」を通じてワン被告の政治的地位を確立させるためのメディア工作を行っていた。

新疆問題や政治日程に関する情報工作と国際影響

具体的な工作活動の内容は多岐にわたる。2021年6月、中国当局者はWeChatを通じてワン被告らに対し、新疆ウイグル自治区に関する宣伝記事を送付した。その内容は「新疆にジェノサイドや強制労働は存在しない」と主張し、国際社会の批判を「中国を中傷し、発展を阻害するための流言」と断じるプロパガンダであった。ワン被告は即座にこの記事を自身のサイトに転載し、公開後のリンクを中国当局者に報告。当局者からの謝意に対し、「リーダー(領導)、ありがとうございます」と返答するなど、主従関係を鮮明にしていた。

また、国家安全保障に関わる重大な情報提供も行われていた。2023年に当時の蔡英文総統が訪米しロサンゼルスを経由した際、孫受刑者はその詳細な日程や動静を中国領事館に逐一通知していた。さらに、台湾、チベット、新疆の独立支持派や法輪功といった、中国当局が「海外反華勢力」と定義する団体についても報告を行い、ロサンゼルス周辺の組織を動員してこれらに対抗する措置を提案していた。米独立記念日にワシントンD.C.で親中デモを実施するために、8万ドル(約1,200万円)もの資金を中国当局に申請していたことも判明している。

司法の対応と地方政治の脆弱性

ワン被告はまた、2021年11月に中国情報機関の高層メンバーであるジョン・チェン(陳軍)受刑者とも密接に連絡を取り合っていた。裁判資料によれば、ワン被告はチェン受刑者に対し、自身のサイトの記事を転送するよう依頼した際、「これは外交部が発信したがっている内容だ」と明記していた。チェン受刑者は2024年11月に、米国公務員への贈賄共謀などの罪で禁錮20か月の判決を受けている。

連邦検察官事務所のシアラン・マカヴォイ広報官は、本件について「外国政府、特に米国に非友好的な政府が、地方政治に介入して特定の人を当選させることは、国家の安全保障上、重大なリスクである」と言及した。地方自治体の議員が将来的に州議会や連邦議会へと進出することを考えれば、初期段階での浸透工作を阻止することの重要性は極めて高い。

ワン被告は11日午後にロサンゼルス連邦裁判所に出廷し、今後数週間以内に正式な罪状認否が行われる。司法部は、今回の捜査対象がワン被告が2022年12月の市議就任後に停止した「個人的な行為」に限定されているとして、アーケイディア市の公金や現職職員の関与については否定している。しかし、一国の市長が外国政府の利益のために活動していたという事実は、米国内の華人コミュニティのみならず、自由民主主義陣営の政治構造全体に大きな衝撃を与えている。

[出典]

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