ベトナムのトー・ラム書記長が訪中、習近平氏と会談へ エネルギー安全保障と「中国モデル」への接近

ベトナム新国家主席が訪中 習近平氏と会談へ

ベトナムのトー・ラム共産党書記長兼国家主席は14日、就任後初の外遊先として中国を訪問した。17日までの4日間、北京で習近平国家主席らと会談し、経済関係の深化やエネルギー安全保障の強化を図る。ドイツの国際公共放送ドイチェ・ベレ(DW)などが伝えた。  トー・ラム氏は到着後、直ちに高速鉄道でハイテク都市のモデルとされる河北省雄安新区を視察した。滞在中には、ベトナム格安航空(LCC)ベトジェットエアによる中国商用飛機(COMAC)からの航空機調達(購入やリースかは不明)に向けた協力のほか、ホーチミン市の地下鉄建設、通信分野など数十の合意書を締結する見通しだ。

エネルギー供給網のリスクと中越の利害一致

背景には、イラン情勢の緊迫化に伴う供給網リスクがある。エネルギー輸入依存度の高いベトナムでは燃料不足が深刻化しており、4月を乗り切るための備蓄確保が急務となっている。コスト上昇や輸送混乱のリスクから、国内では航空便の欠航やガソリンスタンドでの長蛇の列が発生する事態となった。これに対し、中国側は約10万バレルの燃料支援を表明しており、東南アジア諸国への影響力維持を狙う中国と、緊急事態を脱したいベトナムの利害が一致した形だ。

両国はさらに、インフラ分野での連携を加速させる。昨年12月の習近平氏の訪越時に合意された、ベトナムの港湾都市ハイフォンと中国国境を結ぶ総額78億ドル規模の鉄道計画について、より具体的な技術協力や投資拡大が進められる。中国企業はすでにハノイの地下鉄プロジェクトに参画しており、今回の訪中ではホーチミン市の都市鉄道建設についても中国側の経験や資金を導入する道筋が立てられる見込みだ。

統治面での「中国モデル」接近とデジタル監視

特筆すべきは、近年のベトナムが統治手法において「中国モデル」への接近を鮮明にしている点である。公安省出身のトー・ラム氏は、同省が主導する国営データ取引プラットフォームの構築や、人工知能(AI)を活用した全国的な電子身分識別システムの導入を推進している。これは、国家が情報を中央集約的に管理し、社会の掌握と監視能力を強化する中国の管理モデルと酷似している。

経済構造においても、ベトナムは依然として外資に対して開放的ではあるが、製造業における原材料や中間財の供給、そして5Gなどの通信インフラにおいて、ファーウェイ(華為技術)をはじめとする中国企業への依存度が上昇している。中国による投資比率の高まりは、ベトナム市場における中国ブランドの影響力を増大させ、制度面での同質化を後押しする要因となっている。

戦略的バランス「竹の外交」の高度な舵取り

トー・ラム氏は今年2月に訪米し、米側高官と経済安全保障について協議するなど、大国間で均衡を図る、柔軟な「竹の外交」を維持している。ベトナム政府のデータによれば、昨年の中越貿易額は2560億ドルに達し、前年比24.7%増という驚異的な伸びを見せた。一方で、ベトナムは米国にとって重要な輸出拠点でもあり、中国から輸入した部材を加工して米国へ輸出するという、複雑なサプライチェーンの要石となっている。

米国による迂回輸出への監視強化や、将来的な関税リスクといった貿易摩擦が高まる中、ベトナムの選択肢は限られつつある。南シナ海における主権争いという懸案事項を抱えながらも、経済とエネルギーの安定のために北京との関係を制度化する動きは、国家の生存を懸けた冷徹な計算に基づくものだ。対米輸出の強化という果実を維持しつつ、基幹インフラを中国に委ねる構造の中で、トー・ラム政権には極めて高度な外交的舵取りが求められている。

[出典] ・蘇林將會面習近平 越南治理走向中國模式?(ドイツの国際公共放送ドイチェ・ベレ) ・越南國家主席蘇林本周正式訪問中國大陸 尋求深化經貿合作並保障能源安全(経済日報×ブルームバーグ) ・越共總書記抵京開始訪陸行程 外媒:將尋求深化能源合作(中時新聞網) ・越南主席訪北京 直奔雄安新區 傳陸越將簽航空、能源合作協議(旺報)

[関連情報] ・習主席がベトナム訪問 米中緊張の中、周辺外交強化米空母カール・ビンソンがベトナム寄港へ、中国を牽制かベトナムが南シナ海で石油採掘開始、中国軍幹部が訪越中断

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