万科、25年は2兆円の巨額赤字 不動産不況が直撃
中国不動産開発大手の万科企業(本社・広東省深セン市)が発表した2025年度通期決算は、親会社株主に帰属する純損失が885.6億元(約1.9兆円)に達した。2年連続の赤字で、赤字額は前年から約8割拡大した。売上高は前年比31.98%減の2334億3000万元と大幅に落ち込んだ。中国メディアの環球網などが伝えた。
巨額赤字の主因は、過去に高値で取得した土地の引き渡し時期と現在の市場低迷が重なったことだ。需要の弱い都市での販売価格下落により、資産減損および信用減損の合計は約561億元に上った。不動産開発事業の粗利益率は8.1%まで低下し、経営を圧迫している。
財務面も厳しさを増している。2025年末時点の有利子負債は3584.8億元で、うち1年以内に期限を迎える短期債務が1605.6億元を占める。2026年4月から7月にかけて公開市場債務の償還が集中し、流動性リスクはピークを迎える。同社幹部は「高負債、高回転、高レバレッジの拡張モデルから適時に脱却できなかった」として投資の失敗を認めた。幹部は、筆頭株主である深セン市鉄道交通集団からの資金援助や資産売却を通じ、債務の長期的な解決を模索する方針を示した。
過去の「成功モデル」が足かせに 深刻化する減損の正体
今回の決算で最も衝撃を与えたのは、純損失の8割増という数字以上に、その内実にある。万科が計上した約561億元の減損損失は、不動産バブル期に「攻め」の姿勢で取得した在庫が、現在のデフレ局面において「負の遺産」へと変貌したことを物語っている。
かつて中国の不動産業界を席巻した「高負債・高回転・高レバレッジ」という「三高モデル」は、地価の右肩上がりを前提としていた。しかし、政府による規制強化と景気後退が重なり、需要の乏しい地方都市(三・四線都市)に抱える膨大なプロジェクトが、決済(引き渡し)の段階で軒並み赤字に転落した。売れば売るほど損失が膨らむという構造的な罠にはまっており、決済粗利益率が8.1%まで低下したことは、もはや開発業務自体が利益を生まない体質になっていることを示唆している。
また、非経常損益を控除した後の赤字幅がさらに大きい(前年比89.27%拡大)という点は見逃せない。これは、本業である不動産開発と資産運営の両輪が機能不全に陥っていることを意味する。AI技術の導入や組織改編によって管理費用を微減させるなどのコスト削減努力も行われているが、数千億元規模の売上減少と巨額の債務利息の前では、その効果は限定的と言わざるを得ない。
迫り来る債務償還の山 深セン市政府による救済の行方
今後の最大の焦点は、2026年4月から7月にかけて集中する債務の償還を乗り切れるかどうかだ。万科の資金繰りは、営業活動キャッシュフローがマイナスに転じるなど、極めて綱渡りの状態にある。同社が公表した短期債務1605.6億元という数字は、現在の販売低迷による現金回収の鈍さを考慮すれば、自力での完済が不可能な規模である。
ここで鍵を握るのが、筆頭株主である深セン市鉄道交通集団(深鉄集団)を通じた公的支援の動向だ。深鉄集団はすでに300億元を超える株主借入を提供しているが、万科を完全に救済するためにはさらなる資本注入や、国有銀行による融資のロールオーバー(借り換え)が不可欠となる。中国政府は「ホワイトリスト」制度などを通じて優良なプロジェクトへの融資を促しているが、万科のような巨大企業の債務問題を抜本的に解決するには、不動産市場全体の需要回復という極めて困難な条件が必要となる。
万科の苦境は、中国不動産業界において「模範生」とされてきた大手でさえ、過去の過剰な拡張路線の清算に苦しんでいる現実を浮き彫りにした。万科がもしデフォルト(債務不履行)に陥れば、その影響は恒大集団(エバーグランデ)以上に産業構造全体、さらには金融システムへの波及が避けられない。2026年は、万科が「三高」の呪縛を解き、アセットライト(資産軽量化)経営へと真に転換できるか、あるいは深刻な債務危機の渦に飲み込まれるかの分水嶺となるだろう。
[出典]
- 万科2025年营收2334.3亿元 归母净亏损885.6亿元(環球網)
- 萬科2025年虧逾4,000億元(経済日報)
- 万科2025年报解读:归母净亏损885.6亿元 扣非归母净亏损同比扩大89.27%(新浪財経)
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