
受験カリスマ張雪峰氏の告別式 数万人が参列
中国の著名な教育インフルエンサー、張雪峰(本名・張子彪)氏の告別式が28日、江蘇省蘇州市の葬儀場で行われた。同氏は24日午後、同市内で死去した。41歳だった。告別式には数万人の市民や学生が自発的に参列し、入り口を埋め尽くす献花の中には大学の合格通知書を供える若者の姿も見られた。会場周辺では早朝から激しい渋滞が発生するなど、近年にない規模の見送りとなった。
張氏はSNSで計6000万人以上のフォロワーを抱えるカリスマ講師として知られた。2016年に大学受験の解説動画で脚光を浴びて以来、学歴社会の底辺からはい上がった自身の経験をもとに、貧困家庭の子弟へ「稼げる学部」や「公務員採用に有利なルート」を説く実利的な指導で絶大な支持を集めた。一方、人文科学を軽視し、受験生の不安を煽る功利主義的との批判も根強かった。
張氏は、健康維持のためマラソンを愛好しており、亡くなる2日前まで月間70キロを超えるランニングを継続していた。24日午後に突如心停止に見舞われ、41歳の若さで死去した。同氏は過激な愛国的言動でも知られ、昨年9月には「台湾攻撃の際には1億元(約23億円)を寄付する」と豪語し物議を醸した。配信中の暴言で当局から活動停止処分を受けたこともある。
「寒門」の救世主と情報の民主化
張雪峰氏がこれほどまでの支持を集めた背景には、中国における深刻な教育格差と階層固定化がある。かつて「科挙」の流れを汲む大学入試(高考)は唯一の階層上昇ルートと信じられてきたが、近年はエリート層が情報を独占し、一般家庭の子弟は「どの学部が将来の就職に直結するか」という戦略的な情報から疎外されていた。
張氏はこうした「情報の壁」を打ち破った。彼は「夢や理想」といった美辞麗句を排し、冷徹なまでに市場価値に基づいた学部の選び方を提示した。特に農村部や地方都市の貧困家庭(寒門)にとって、彼の言葉は「生存戦略」そのものであった。2021年に設立した教育コンサルティング会社「峰学未来」は、単なる受験指導にとどまらず、就職やキャリア形成までを見据えた産業構造への深い洞察を提供していた。彼の成功は、中国の若者が直面する「内巻(過酷な内部競争)」という絶望に対する、一つの現実的な処方箋となっていたのである。
功利主義の代償と愛国心への傾倒
一方で、張氏の指導スタイルは常に議論の的となってきた。彼は「就職に結びつかない人文社会科学は無価値である」という極端な功利主義を説き、学生の長期的興味や個人の理想を軽視しているとの批判を浴び続けた。この価値観は、知識を有用か無用かで切り分け、人間を規格化された労働力として評価する現代中国の粗暴な一面を反映している。
また、彼のビジネス戦略には、しばしば過激なナショナリズムが組み込まれていた。昨年9月、軍事パレードの際に「台湾統一の際には個人で5000万元、会社全体で1億元を寄付する」と宣言したことは、その最たる例である。この発言は熱烈な愛国主義層から賞賛を浴びる一方、営利活動のために政治的な焦燥感を利用しているとの指摘も免れなかった。実際、ライブ配信中の汚言や過激な言動により、当局からアカウント停止処分を受けるなど、その活動は常に規律の境界線上にあった。
41歳という早すぎる突然死は、彼自身が煽り続けてきた「時代の焦燥」と、過酷な「内巻」の縮図のようにも見える。皮肉にも、理想を切り捨てて安全と実利を求めた「做題家(受験エリート)」の象徴的な死は、安定こそが最大の贅沢となった停滞期の中国社会において、さらなる不安の波紋を広げている。
[出典]
- 中国知名教育博主张雪峰去世,网络热议 – RFI
- 中國考研名師張雪峰出殯 大批民眾自發送行 – 中央社
- 中國考研名師張雪峰猝逝 曾稱攻台就捐人民幣1億元 – 聯合新聞網
- 去年稱打台灣就捐上億 41歲中國頂級網紅張雪峰猝逝 – 自由時報
[関連情報]
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