
中国外務省が12回目の訪日自粛警告 治安悪化と政治対立が経済を直撃
中国外務省は26日、日本国内の社会治安が著しく不安定になっているとして、中国公民に対し当面の間、日本への渡航を控えるよう改めて厳重な警告を発した。高市早苗首相が昨年11月に台湾有事を日本の「存立危機事態」と位置づける発言を行って以来、中国当局による訪日自粛の呼びかけは少なくとも12回に達している。今回の警告は、治安上の懸念を強調することで、外交・経済の両面から日本への圧力を継続させる北京の姿勢を鮮明にしたものだ。
今回の警告において中国側が直接の理由として挙げたのは、3月24日に発生した事案である。現役の自衛官が塀を乗り越え、東京・元麻布の中国駐日大使館に強行侵入した。中国外務省の領事保護センター公式SNS「領事直通車」は、この事案を外交人員の身の安全と施設を脅かす「極めて悪質」な行為であると断定。日本側の管理責任を厳しく追及するとともに、在日中国公民を取り巻く安全環境が継続的に悪化しているとの主張を展開した。
中国側が訪日回避を求める根拠は、主に「治安環境の悪化」と「高市政権への政治的反発」の二点にある。昨年11月14日の警告以来、日本指導者による台湾問題への言及が交流の雰囲気を破壊したと批判を強めてきた。その後、文化観光部による旅行回避勧告や、教育部による留学計画の再検討要請が相次いでいる。当局は、上野での強盗事件や道頓堀での殺傷事件、札幌での暴行事案、さらには東京マラソン観戦中の中国公民に対する嫌がらせなどを具体的に列挙することで、日本国内の治安不安を強調し、中国国内での訪日意欲を抑制する構えだ。
航空・観光・不動産に及ぶ「経済的影響」の連鎖
こうした中国政府による訪日自粛呼びかけの継続は、日本の関連産業に深刻な影を落としている。大阪・関西国際空港が発表した2026年度夏季ダイヤ(3月29日〜10月24日)の運航計画によれば、中国各地を結ぶ便数は週平均162.9便にまで激減した。これは昨夏の536.5便と比較して約70%の減少である。2月の運営概況でも、中国路線の旅客数は前年同月比59%減の24万人に低迷。国際線全体が6%減に踏みとどまる中で、中国路線の落ち込みが突出している。
影響は航空業界のみならず、インバウンド消費に依存してきた流通・観光業界全体に波及している。日本百貨店協会のまとめでは、春節期間中の訪日自粛呼びかけの影響もあり、2月の免税売上高は前年同期比で約40%減少した。かつての「爆買い」による恩恵は急速に縮小し、多くの企業が戦略の根本的な見直しを迫られている。
さらに、不動産市場にも変化の兆しが現れている。不動産調査会社のデータによると、東京都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)の中古マンション平均価格が2月に前月比0.2%下落した。37カ月ぶりの下落である。例年、需要が高まる春先に価格が下落するのは異例だ。不動産関係者は、2026年に入ってから中国本土の投資家による購入需要が大幅に減少したことが、市況に影響を与えていると分析している。
産業構造の変容と対日圧力の長期化
中国側が日本企業を「中国発展高層論壇」などの重要な経済対話に招待しないなどの動きも、現在の冷え切った関係を反映している。中国商務省の何咏前報道官は26日の会見で、日本側に対し「反省と是正」を強く求めた。これは、高市政権が進める経済安保政策や防衛政策、そして台湾問題への関与に対する明確な牽制である。
産業構造の観点から見れば、中国は自国のサプライチェーンにおける日本依存を低減させる動きを強めている可能性がある。政治的な対立が直接的に経済活動の制約へと繋がる局面が常態化しており、企業は「チャイナ・リスク」を再定義せざるを得ない状況にある。
今後の焦点は、日本側がいかにしてこの外交的・経済的な圧力に対処し、対話を維持するかにある。中国側は、日本側の外交姿勢に変化がない限り、訪日規制や経済的圧力を緩めない構えだ。関西空港の減便や不動産需要の減退は、政治的対立が実体経済に及ぼす影響の大きさを物語っている。日中関係は、かつてないほど厳しい相互不信の中で、次の一手を模索する段階に入っている。
[出典]
- 至少12次 陸外交部再提醒公民近期避免前往日本(中時新聞網)
- 華外交部再發公告 促中國公民近期避免赴日(on.cc東網)
- 對華關係惡化 關西機場中國航班大減(on.cc東網)
- 北京抵制下 大阪關西機場中國夏季航班數大減近7成(中央通訊社)
[関連情報]
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