
王毅外相、イスラエル外相会談 軍事行動停止呼びかけ
中国の王毅外相は3日、イスラエルのサール外相と電話会談を行った。2月28日に米国とイスラエルが対イラン軍事行動を開始して以来、両外相の会談は初めて。王氏は、米国とイスラエルによる軍事打撃に反対を表明し、軍事行動の即時停止を強く呼びかけた。台湾の中央通信社などが伝えた。
会談でサール氏は、自国の立場と軍事行動の背景を説明した。イスラエル軍は「咆哮(ほうこう)するライオン」作戦により、過去3日間でイランのミサイル発射台約300基を破壊したと発表。サール氏は、現地における中国の要員や機関の安全確保を「高度に重視し、保護する」と伝えた。
これに対し王氏は、対話による解決を一貫して主張。「軍事力の真の価値は戦場ではなく、戦争の予防にある」と述べ、進展していた核問題を巡る米国とイスラエルの交渉が「砲火で中断された」と遺憾の意を示した。背景には、交渉中の攻撃を「不誠実」と断じ、主権国家の指導者殺害による政権交代を狙った動きへの強い警戒がある。
一方、トランプ米大統領は同日、攻撃により戦後の指導者候補を多く殺害したと戦果を強調した。中国は巨額のガザ再建利権に強い関心を寄せており、激化する戦況下で、発言権を握る米トランプ政権やイスラエルとの間で、再建参画を巡る複雑な外交交渉が続くとみられる。
中断された核交渉と米以の電撃作戦
今回の電話会談の背景には、中東の秩序が根底から覆る事態への危機感がある。米国とイスラエルによる2月28日の大規模攻撃では、イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメイニ師が殺害されるという歴史的な事態に至った。王毅氏が「砲火で中断された」と言及した交渉プロセスとは、イランと米国の間で行われていた核合意再建に向けた協議を指す。この交渉ではイスラエル側の安全保障上の懸念も議論の遡上に載っており、合意に向けた期待が高まっていた。
しかし、イスラエルとトランプ政権は、外交交渉よりも実力行使による脅威の排除を選択した。トランプ氏は攻撃の成果として、ポスト・ハメイニ体制の指導者候補らの抹殺を挙げており、物理的なレジーム・チェンジを断行した形だ。これに対し中国は、交渉継続中に軍事行動に踏み切った米以を「不誠実」と非難。主権国家の指導者を標的にした攻撃が国際法秩序を破壊し、制御不能な戦火の拡大を招くとの懸念を強めている。
中国のエネルギー戦略と産業構造への影響
中国にとってイランは「包括的戦略パートナー」であり、主要な原油供給源の一つである。米国の制裁下でも中国はイラン産石油を割引価格で買い取ることで、国内のエネルギーコストを抑制し、産業競争力を維持してきた。軍事衝突の激化は、ホルムズ海峡の封鎖リスクを高め、中国の製造業にとって不可欠なエネルギー供給チェーンを直撃する恐れがある。
さらに、イランは中国の広域経済圏構想「一帯一路」における地政学的な要衝でもある。同国へのインフラ投資や工業製品の輸出が滞ることは、中国の経済戦略にとって大きな痛手となる。王毅氏がサール氏に対し「各方の根本的利益に合致しない」と説いたのは、イスラエルの安全保障だけでなく、中国自身の経済的権益を守るための切実な訴えでもある。
ガザ再建とトランプ政権への外交戦
一方で、中国の視線は戦後の復興利権にも向いている。国連の推計によると、ガザ地区の完全な再建には約700億米ドルの巨費が必要とされる。中国は、これまでパレスチナ問題で「公正な立場」を強調し、アラブ諸国やグローバル・サウスの支持を取り付けてきた。この外交的資産を背景に、ガザ再建プロジェクトへの参入を狙う。
しかし、再建の発注権はアラブ諸国だけでなく、実効支配に関与するイスラエルや、強力な影響力を持つトランプ政権が握ることになる。中国は、米国を「不安定化の要因」と批判しつつも、実利を確保するためには米以との協調的な交渉を避けられない。激化する軍事衝突の裏側では、復興事業のパイを巡る中国と米以の間の、極めて複雑かつ熾烈な外交的駆け引きが展開されている。
[出典] ・王毅與以色列外長通話 反對美以攻擊伊朗籲立即停火 ・伊朗局勢|王毅同以色列外長薩爾通電話 呼籲立即停止軍事行動 ・伊朗局勢|王毅同以色列外長薩爾通話:呼籲立即停止軍事行動 ・China urges Israel to end war in Iran as regional tensions escalate
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