中国軍将官9人の全人代代表資格剥奪 軍高官粛清が拡大 2年で36人資格喪失 張又侠氏は「残留」

第14期全国人民代表大会(全人代)常務委員会第21回会議が2月26日、北京の人民大会堂で閉幕し、19人の全人代代表資格を一括で剥奪することを決定した。このうち9人は中国軍の将官で、軍高官の粛清がなお続いていることを示す形となった。過去2年余りで解放軍出身の全人代代表は約36人が資格を失っており、異例の規模となっている。台湾メディアの聯合報や中時新聞網、香港01などが伝えた。

 今回、資格を剥奪された将官は上将5人、中将1人、少将3人。上将は前陸軍司令の李橋銘、前海軍司令の沈金龍、前海軍政治委員の秦生祥、前空軍政治委員の于忠福、情報支援部隊前政治委員の李偉である。中将は中央軍事委員会国防動員部政治委員の王東海、少将は中央軍事委員会政治工作部主任補佐の邊瑞峰、陸軍第73集団軍軍長の丁来富、ロケット軍第64基地司令員の楊光とされた。兼任していた全人代内の職務も同時に取り消された。

 李橋銘と李偉は中国共産党第20期中央委員で、昨年10月の第4回中央委員会全体会議を欠席していた。李橋銘は1年以上公の場に姿を見せていなかった。沈金龍、秦生祥、于忠福は退役上将で中央委員ではないが、全人代常務委員を務めていた。軍高層の広範な人脈に及ぶ処分であり、組織的な再編の色彩も濃い。

 第14期全人代の代表数は現在2878人とされ、当初の2977人から約100人減少した。減少が最も多いのは解放軍および武装警察代表団で38人に上る。中国軍粛清の動きが立法機関の構成にも影響を及ぼしている構図である。

 一方、今年1月に調査対象となった中央軍事委員会副主席の張又侠および軍委委員の劉振立の名前は、今回の剥奪名簿には含まれていない。専門家は、案件の調査が未了である可能性や、処理方針について内部で最終合意が形成されていない可能性を指摘する。過去には中央軍事委員だった苗華のケースで、調査開始から代表資格剥奪まで半年以上を要した例もある。

軍統制強化と「全面的な党内統治厳格化」

 会議では軍以外の幹部処分も決定された。前内モンゴル自治区党委書記の孫紹騁ら地方幹部の代表資格も取り消されたほか、重大な規律違反・法令違反の疑いで調査を受けている王祥喜は応急管理部部長を解任された。公告は具体的理由を明示していない。

 同日、政治局委員ら高級幹部は習近平総書記に職務報告を行い、思想・政治・行動の各面で党中央と高度に一致するよう求められた。習近平は「腐敗を敢えて行えず、行えなくし、行う気も起こさせない」体制を一体的に推進すると強調した。軍高官の相次ぐ代表資格剥奪は、この「全面的な党内統治厳格化」の一環とみられる。

 近年、中国軍はロケット軍や装備部門を中心に大規模な人事刷新を進めてきた。軍事近代化を加速させる一方、指揮系統の忠誠度を再確認する政治的意味合いも強い。特に台湾海峡や南シナ海を巡る緊張が続く中、軍指導部の統制強化は対外戦略とも密接に関係する。

張又侠問題と国際安全保障への波及

 張又侠は軍内で長年影響力を持つ実力者とされ、その動向は対米軍事対話にも影響を与えるとみられてきた。名簿に含まれなかったことは、軍内部の力学がなお流動的であることを示唆する。

 中国軍粛清の拡大は、軍の指揮安定性や政策決定の透明性に疑問を投げかける。対外的には、米中軍事対話の持続性や台湾情勢への影響も注目される。軍高層の頻繁な更迭は、短期的には統制強化につながるが、中長期的には人材層の空洞化や組織の慎重化を招く可能性もある。

 全人代代表資格の一括剥奪は形式的措置にとどまらず、中国政治の中枢で進む再編の一端を映し出している。軍と党の関係を再定義する動きが、今後どの範囲まで拡大するのかが焦点となる。


[出典]
聯合報:人大常委會閉幕 撤銷19人代表資格
聯合報:軍方高層動向分析
中時新聞網:9將領遭撤人大代表資格
香港01:人大常委會會議閉幕 應急管理部長王祥喜免職 9將領撤人大代表

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