シャオミEV炎上事故の全容 SU7 Ultraは電源喪失でドア開かず、新基準で隠し式ハンドル禁止へ

シャオミEV炎上事故、司法鑑定で判明した電源喪失の実態

四川省成都市で昨年10月、中国IT機器大手の小米(シャオミ)系高性能電気自動車(EV)「SU7 Ultra」が衝突炎上し、運転手の男性(31)が死亡した事故について、当局の司法鑑定結果がこのほど公表された。

鑑定意見書によると、事故車両は制限速度80キロの道路を、衝突3秒前には200キロ超、衝突時は167キロで走行していた。運転者の酒気帯び運転も確認され、当局は重大な速度超過と飲酒運転を事故原因と断定し、運転者の全責任と結論付けた。

一方で社会的関心を集めているのが、衝突後に車外からドアが開かなかった技術的要因である。鑑定では、激しい衝撃により駆動用バッテリーが圧迫され短絡。高電圧電流が低圧回路に流入し、車両の低圧電源が完全に喪失したと認定した。その結果、電子式ドアラッチを採用する車外ドアハンドルの解除機能が消失した。

当該車両には車外の機械式緊急開放装置が備わっていなかった。車内には隠し式の機械レバーが存在したが、横転と炎上という状況下で外部からの操作は不可能で、内部からの操作も極めて困難だった。成都市公安局の鑑定では、死因は衝突損傷ではなく車両火災による焼死と断定された。

EV安全基準強化へ 物理断電装置と機械式ハンドル義務化

遺族は、車外に機械式ハンドルを設けなかった設計が脱出を妨げたと主張し、メーカー側の責任も追及している。賠償協議はなお合意に至っていない。

この事故は、中国EV産業全体の安全設計に影響を与えている。2026年7月施行の強制国家標準(GB 18384-2025)では、ソフトウェア制御に依存しない物理的断電装置の搭載が義務化される。さらに2027年1月からは、新規格(GB 48001-2026)により、全ての車外ドアハンドルに機械式開放装置の設置が求められる。

これにより、テスラやシャオミが採用してきた隠し式ドアハンドル設計は事実上の禁止となる。EVは軽量化や空力性能向上を目的に電子制御化が進んできたが、安全確保の観点から物理的バックアップ機構の再導入が制度的に義務付けられる形だ。

中国は世界最大のEV市場であり、シャオミはスマートフォン企業から参入した新興勢力として注目を集めてきた。高性能モデルSU7 Ultraはブランドイメージ向上を担う象徴的存在であったが、今回の事故はソフトウェア依存型設計のリスクを浮き彫りにした。

近年、中国ではEV炎上事故やソフトウェア不具合が相次ぎ、リコールや当局調査が続いている。安全規制の強化は産業の成熟化を促す一方、コスト増や設計変更を通じて企業戦略にも影響を与える可能性がある。

今回のシャオミEV事故は、個別企業の問題にとどまらず、中国EV産業が量的拡大から安全・品質重視の段階へ移行する転換点となる可能性がある。技術革新と安全基準のバランスをどう取るかが、今後の国際競争力を左右することになる。

[出典]
Gasgoo:Xiaomi SU7 Ultra crash investigation released
香港01:小米SU7司機燒死報告出爐 167km/h撞擊後低壓系統斷電無法開車門

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