
ロボットが舞う「人間味なき」春節 4社が競演
中国国営中央テレビ(CCTV)が2026年2月17日夜、春節(旧正月)の恒例番組「春節聯歓晩会(春晩)」を放送した。 今年は宇樹科技(Unitree)、魔法原子(Magic Atom)、銀河通用(Galbot)、松延動力(Songyan Dynamics)のロボット企業4社が、各1億元(約22億円)とされる巨額の協賛金を投じて出演。 カンフーを完遂する人型ロボットチームが、中国の人工知能(AI)と製造業の最新成果を誇示したが、SNS上では「人間味がなさすぎる」との批判も相次いだ。
飛躍する技術精度と「世界初」の突破
仏紙ル・モンドは、2025年からの1年間で進歩した人型ロボットの精度を「イーロン・マスク氏も認める強大な競争相手」と評した。 宇樹科技の演目「武BOT」では、人型ロボット「G1」と「H2」が酔拳、ヌンチャク、3メートル超の空翻(バク転)を披露した。 同社の王興興創業者は、これが外部補助なしに機体センサーのみで環境を感知する「完全自律型クラスター制御技術」によるものであり、世界初の技術的突破であると述べている。
また、銀河通用の「小蓋(シャオガイ)」は沈騰、馬麗の映画に登場し、ガラス破片の回収や服畳みといった精緻な動作を実演。 松延動力は蔡明に酷似したバイオニックロボットをコントに投入し、魔法原子は100台の「ロボットパンダ」による集団演舞を披露するなど、各社が技術を競った。
1億元の「入場料」が生んだ凄まじい経済効果
春晩という巨大な広告塔への投資は、即座に市場を動かした。 放送開始からわずか2時間で、EC大手の京東(JD.com)ではロボット関連の検索数が300%以上、注文数は150%急増した。
松延動力の姜哲源創業者は、巨額の出演料について「春晩という舞台は、生き残りをかけた最終選別が行われる勝負の場だ」と表現。 このショーに参加して存在感を示せる企業だけが、将来この業界で一流プレイヤーとして生き残る資格を得られると語り、市場での主導権争いが極限まで激化している現状を明かした。
上場ラッシュを見据えた「生存競争」と現場の課題
背景には、2026年に予想される中国の具身知能(エンボディドAI)企業の上場ラッシュがある。 宇樹科技や智元ロボット(Agibot)などは、すでに新規株式公開(IPO)に向けた準備を正式に開始している。
しかし、技術現場の視点はより慎重だ。 王興興氏は、現在のロボットの「脳」は汎用性に欠け、家庭ごとの環境に対応するにはまだ時間がかかると指摘。 さらに、資金流入に伴う「過酷な内部競争(内捲)」も深刻であり、赤字覚悟の投げ売りが業界全体を崩壊させるリスクを懸念している。
視聴者の冷ややかな反応と不透明な先行き
当局が「国家の偉大な復興」や「技術覇権の象徴」としてロボットの活躍を喧伝する一方で、視聴者の反応は複雑だ。 SNS上では「人間が書いたはずの論文がAIに頼りきっているように、今年の春晩も中身をロボットで埋め尽くしただけだ」といった皮肉や、「不気味で温かみがない」という批判が目立つ。
また、ロボットの大量導入を事前に的中させた人気動画主Papiちゃんの動画が削除されたことも、「都合の悪い予言が消された」として不信感を強める一因となった。 華やかな演出の裏には、業界の焦燥と不透明な先行きが露呈している。
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