ディズニー、バイトダンスを提訴 AI動画「Seedance 2.0」の著作権侵害で

ディズニーがバイトダンスを提訴、AI「Seedance 2.0」の著作権侵害を非難

米ウォルト・ディズニー・カンパニーが、ショート動画アプリ「TikTok」の運営元である中国バイトダンス(字節跳動)に対し、自社の著作権を侵害されたとして、侵害行為の停止などを求めてカリフォルニア州の連邦地方裁判所に提訴した。紛争の焦点となっているのは、バイトダンスが今月12日に公開した最新の動画生成AIモデル「Seedance 2.0」である。

ディズニー側の主張によれば、Seedance 2.0は「スター・ウォーズ」や「マーベル」シリーズといった同社が保有する世界的な人気キャラクターを無断で学習に取り込み、あたかも「無料素材」であるかのように扱う「海賊版ライブラリ」を構築しているという。具体的には、ユーザーがわずかなプロンプトを入力するだけで、スパイダーマンやダース・ベイダー、グーフィーといった著作権で保護されたキャラクターが登場する高品質な動画を生成できる状態にあると指摘している。

このツールはリリース直後からその性能の高さが話題となり、特にブラッド・ピット氏とトム・クルーズ氏というハリウッドを代表する二大スターが激しい格闘を繰り広げる精巧なフェイク動画がSNS上で拡散。この動画が「あまりにリアルで実写と見紛う品質」であったことが、米国のエンターテインメント業界に強い危機感を与える結果となった。

ハリウッドに広がる抗議の波とMPAによる即時停止要求

この問題はディズニー一社に留まらず、ハリウッド全体を巻き込む事態へと発展している。米パラマウント・スカイダンス(Paramount Skydance)も、自社の知的財産権に対する「公然たる侵害」であるとして、バイトダンスに侵害停止を求める通知を送付した。

また、Netflixやソニー、ユニバーサルなどの主要映画スタジオを代表するアメリカ映画協会(MPA)も、厳しい声明を発表している。MPAのチャールズ・リフキン会長は、「バイトダンスはクリエイターの権利を公然と無視し、数百万人の雇用を支える著作権法を軽視している」と非難し、当該サービスの即時停止を強く要求した。業界関係者の間では、こうした生成AIによる無断利用が、俳優の肖像権や映画スタジオのビジネスモデルを根底から揺るがしかねないという懸念が急速に高まっている。

ディズニーの知財戦略:対抗から「正規ライセンス」への誘導

ディズニーが今回、強硬な法的手段に出た背景には、単なる侵害防止を超えた戦略的な意図が見て取れる。同社は2025年12月、米OpenAIとの間で3年間のライセンス契約を締結したばかりである。この契約に基づき、OpenAIの動画生成AI「Sora」に対して、スター・ウォーズやピクサー作品などのコンテンツを正規に使用する権利を許可している。

つまり、ディズニーの戦略はAI技術そのものを否定するものでなく、AI開発企業に対して「正当な対価」を支払うライセンスモデルの確立を迫ることにある。無断で学習データとして利用する「海賊版」的アプローチには厳格な訴訟で対処し、一方で協力的な企業とは契約を結ぶという、二段構えの知財管理を強化している。これは、今後さらに激化するAI市場において、自社IP(知的財産)の価値を守り抜くための明確な意思表示といえる。

中国AI企業の課題と今後の展望

対するバイトダンス側は、「知的財産権や肖像権の無断使用を防止するために、既存の安全策を強化する措置を講じている」との声明を発表した。しかし、具体的な技術的解決策や、著作権者への補償策については言及を避けている。Seedance 2.0は、その高い生成能力から、同様に中国発のAIとして世界を席巻している「DeepSeek(深度求索)」と比較されることも多いが、急速な技術普及の裏で知財保護の枠組みが追いついていない現状が浮き彫りとなった。

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