
上海地下鉄建設現場で大規模な陥没事故が発生:発生の経緯と現状
2026年2月12日午前、上海市閔行区の七莘路付近にて、建設中の都市圏快速線「嘉閔線」の工事現場で大規模な路面陥没が発生した。現場では路面が「ブラックホール」のように急速に沈み込み、施工用の仮設小屋や設備一式が巨大な坑洞へと飲み込まれる事態となった。
事故の予兆は前日の2月11日夜に現れていた。嘉閔線の七莘路駅から莘建路駅間の施工中に局所的な漏水(浸水)が確認されたため、上海市公安局交通警察総隊は即座に周辺道路の封鎖措置を講じた。この迅速な初動対応により、翌日の大規模陥没発生時には現場が完全に囲い込まれており、車両や歩行者の巻き込み、および作業員の死傷者は1人も出なかった。
現場では地下管路の損傷も確認されており、陥没した穴の中に大量の水が噴き出す様子が記録されている。2月12日夜の時点では、中鉄隧道局や上海建工などの多部門が連携し、コンクリートミキサー車を大量投入しての排水およびコンクリート注入による埋め戻し作業が夜を徹して行われた。
巨大プロジェクト「嘉閔線」の重要性と露呈したリスク
今回事故が起きた「嘉閔線」は、単なる地下鉄路線ではなく、上海市の都市計画において極めて重要な「市域鉄道(都市圏快速線)」である。全長約44km、全15駅を結ぶこの路線は、上海で2番目に建設される南北の基幹路線であり、総投資額は約371.01億元(約1648億台湾ドル)にのぼる。最高時速160kmで郊外と中心部を直結させるこのプロジェクトは、上海の都市機能を支える政策的柱となっている。
しかし、巨額の予算と高度な技術を投入しているにもかかわらず、今回の陥没事故はインフラ開発の難しさを改めて浮き彫りにした。特に当該エリアの七莘路付近では、2023年8月22日にも別の路面陥没が発生しており、地質的なリスクが以前から指摘されていた。
上海申鉄などの建設主体は、施工中の「右線到達側」での漏水が直接の原因であるとしているが、なぜ同様のエリアで事故が繰り返されたのか、その技術的要因や安全管理体制の不備については現在も厳格な調査が進められている。復旧の目処は立っておらず、巨大プロジェクトの工期への影響は避けられない見通しだ。
中国のインフラ開発政策と相次ぐ都市部陥没の背景
中国では近年、都市部での地下鉄建設に伴う路面陥没が社会問題化している。背景には、政府が推進する急速なインフラ整備がある。都市間の移動時間を短縮し、経済効率を最大化するために、地下空間の過密な利用が進んでいる。
今回の嘉閔線の事例でも、地下駅14箇所を平均駅間距離約3.1kmという密度で配置しており、地下深部での複雑な掘削が地盤に与える影響は無視できない。また、上海のような軟弱地盤におけるシールド工法では、地下水の変動が即座に地表の安定性に直結するリスクを孕んでいる。
当局は二次災害の防止を最優先し、周辺のガス管や水道管の安全確認を急いでいるが、市民の間ではインフラの安全性に対する懸念が広がっている。今回の事故は、経済成長を支える急速なインフラ建設の裏側で、いかに地質リスクを管理し、安全な都市開発を行うかという課題を象徴している。
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