黎智英(ジミー・ライ)氏に禁錮20年 トランプ氏の釈放要請届かず、国外勢力結託で初の重刑判決


黎智英氏に禁錮20年、国安法下で過去最長の量刑

香港高等法院(高裁)は2026年2月9日、香港国家安全維持法(国安法)違反の罪に問われていた「壱伝媒(ネクスト・デジタル)」創設者、黎智英氏に対し、禁錮20年の実刑判決を言い渡した。主な罪状は、外国勢力との結託および扇動的な刊行物の発行である。

今回の量刑は、これまでに同法で起訴された被告の中でも突出して重いものであり、黎氏と共に起訴された「アップル・デイリー(リンゴ日報)」の元幹部ら8人に対しても、禁錮6年3カ月から10年の量刑がそれぞれ言い渡された。2020年の同法施行以来、香港の言論の自由を象徴するメディアの創設者に下されたこの判決は、香港における民主派への徹底的な封じ込めを象徴するものとなった。

トランプ米大統領の釈放要請も届かず

本公判は、単なる司法手続きを超え、米中首脳間の外交問題としても世界的な注目を集めてきた。米国のトランプ大統領は、中国の習近平国家主席に対し、黎氏の釈放を直接要請していた経緯がある。トランプ氏は黎氏が「高齢であり、体調も優れない」ことを強調し、人道的観点から検討を求めていたが、今回の判決はそれらの要請を退ける形となった。

2025年10月に韓国で行われた米中首脳会談の際にも、トランプ氏は直接釈放を呼びかけたとされる。しかし、本日言い渡された「禁錮20年」という結果は、中国政府が香港の主権および「国家安全」に関わる問題において、外部からのいかなる政治的干渉も受け入れないという強固な姿勢を内外に示したものといえる。

「国外勢力結託」を巡る初の全面認定と重刑の意図

裁判では、黎氏が海外の政治家や団体と接触し、香港への制裁を求めたことなどが「外国勢力との結託」にあたると認定された。香港当局は、黎氏の活動が国家の安全を脅かす極めて重大な犯罪であると位置づけている。黎氏の事件は、香港で国外勢力との結託が全面的に認められた初のケースであり、今後の運用の基準を定める重要な前例となる。

裁判官は量刑の理由を述べる中で、黎氏を「一連の犯罪における主導的な役割を果たした」とし、被告の中で最も重い刑罰を選択した。黎氏は現在70代後半であり、20年という刑期は事実上の終身刑に等しい。これは、同様の活動を試みる他の民主派勢力やメディア関係者に対する強力な抑止力、すなわち「重刑による警告」としての側面を色濃く反映している。

壱伝媒の解体と香港メディア環境の変容

今回の判決は、黎氏個人への裁きであると同時に、彼が築き上げたメディア帝国「壱伝媒」および旗艦紙「アップル・デイリー」の法的な終焉を意味する。関連会社3社についても有罪が確定しており、かつてアジアで最も自由な報道環境を誇った香港において、権力への批判的な言説がいかに高いリスクを伴うものに変貌したかを世界に知らしめた。

国際人権団体や欧米諸国からは「法治の形骸化」との批判が相次いでいるが、香港政府は「独立した司法権に基づき、法に従って下された判決である」との立場を貫いている。トランプ氏によるトップダウンの交渉でも動かなかったこの司法判断は、今後の米中関係や、香港に残るわずかな民主的活動の行方に、極めて暗い影を落としている。

[出典]

[関連情報]

#黎智英 #香港国家安全維持法 #判決 #トランプ #アップル・デイリー

タイトルとURLをコピーしました