米主導の重要鉱物連合が始動 中国のレアアース武器化阻止へ 日米欧がパートナーシップ


ワシントンで55カ国が集結、対中供給網の再構築を宣言

2026年2月4日、米ワシントンの国務省において「重要鉱物閣僚級会議」が開催された。この会議は、先進製造業や国防技術に不可欠な重要鉱物資源の供給網について、中国への過度な依存を脱却し、多国間での強靭なネットワークを構築することを目的としている。会議には、日韓やオーストラリア、インド、ドイツ、さらにはアフリカの資源国であるコンゴ民主共和国など、計55の国と地域が参加した。

トランプ政権のバンス副大統領は、安価な中国産鉱物の市場流入が自国の製造業を弱体化させている現状を厳しく批判した。ルビオ国務長官もまた、特定の国が資源を独占し「地政学的な圧力ツール」として利用している現状に懸念を表明。名指しこそ避けたものの、昨年からレアアースの輸出制限を強める中国を念頭に、民主主義諸国による新たな優遇貿易圏の構築を宣言した。

政策意図:市場原理を超えた「価格下限」と政府介入

今回の会議で最も注目されたのは、重要鉱物の各生産工程における「価格下限(プライスフロア)」の設定である。これは、中国が圧倒的なシェアを背景に行う低価格ダンピングを封じ込め、コストの高い欧米や同盟国の採掘・精錬業者の利益を守るための措置だ。

トランプ政権は、市場原理に政府が直接介入する異例の戦略を打ち出している。具体的には、2月2日に始動した「プロジェクト・ボールト(金庫計画)」により、米国進出入銀行が100億ドルの初期資金を投入し、重要鉱物の戦略備蓄を構築する。さらに、政府による最低購入保証や補助金、優遇貿易圏内での関税措置などを組み合わせることで、民間企業の投資リスクを軽減し、中国に依存しない生産能力の構築を支援する方針だ。

日米欧の連携と台湾の戦略的立ち位置

会議の期間中、米国はパートナー諸国との実務的な合意を矢継ぎ早に発表した。米国、欧州連合(EU)、日本は三カ国間で重要鉱物パートナーシップを締結。今後3カ月以内に、共同開発や安全なサプライチェーン構築に向けた「戦略的パートナーシップ・ロードマップ」を策定することで合意した。また、メキシコとの間でも、北米域内での供給網強化に向けた二国間計画がまとまった。

台湾については、今回の閣僚級会議への列席はなかったものの、直近に開催された第6回米台経済繁栄パートナーシップ対話(EPPD)において、重要鉱物分野での戦略的協調を確認している。台湾は世界的な半導体およびデジタル経済のリーダーとして、供給網の安定に不可欠な存在とみなされている。台湾側は国内の工業技術研究院(ITRI)を支援し、3年以内にレアアースの自給率を50%まで引き上げる試量産ラインの構築を進めており、対中依存低減に向けた独自の能力強化を急いでいる。

米中デカップリングの加速と今後の展望

今回の多国間連合の始動は、次世代産業における「米中デカップリング(切り離し)」が新たな局面に入ったことを示唆している。中国側は「世界のサプライチェーン安定に建設的な役割を果たしてきた」と主張し、米国の動きを牽制しているが、西側諸国の警戒心はかつてないほど高まっている。

短期的には、価格下限の設定や供給網の組み替えが、電気自動車(EV)や半導体の製造コストを押し上げる要因となる可能性は否定できない。しかし、4月に予定されているトランプ氏の訪中を前に、重要鉱物を「戦略資源」として確保する動きは、もはや後戻りできない国家安全保障上の最優先事項となっている。

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