深センの金取引プラットフォーム「杰我睿珠宝」が経営破綻か 投資家への未払額2900億円規模、警察と衝突も

「水貝地区」を揺るがす巨額債務不履行の実態

中国最大の金の集散地として知られる広東省深セン市羅湖区の水貝地区で、貴金属取引プラットフォームを運営する「深圳市杰我睿珠宝」の経営危機が表面化し、大きな波紋を広げている。同社は独自の取引システムを通じ、多くの個人投資家から証拠金を集めていたが、現在、投資家が預けた資金が最大133億人民元(約2900億円)にわたって引き出し不能となっている。

事態を重く見た同社は「1日の出金限度額を現金500元、または金1グラム」とする極端な制限を設けたが、これが投資家の不安を一層煽る結果となった。1月25日から27日にかけて、現場には全国から被害を訴える投資家が殺到。現場の混乱は極に達し、抗議する群衆と警察部隊が衝突、強制排除が行われるなど騒然とした事態に発展した。

深セン市羅湖区政府は28日、専門チームを組織して介入したと発表した。同社に対し資産の整理と払い戻し責任を果たすよう督促しているが、経営者の張志騰氏がSNSの動画で「逃げずに対応する」と表明する一方で、資産の実態は不透明なままである。被害者らは単なる債務不履行ではなく、組織的な詐欺の疑いがあるとして、刑事事件としての立件を強く求めている。

金価格高騰が引き金となった「私設先物取引」の破綻背景

今回の経営危機の直接的な原因は、近年の国際的な金価格の急上昇にある。同社が運営していたプラットフォームは、将来的な金価格の「値下がり」を前提とした独自の金取引スキームを提供していた。これは、実物資産の裏付けが乏しい中で、顧客から預かった証拠金を運用する「私設先物取引」に近い形態だったとみられる。

中国の個人投資家の間では、不動産市場の低迷や株価の不安定さから、安全資産とされる金への投資が過熱していた。同社はこの需要を取り込み、実物取引を装いながら高い利回りを予感させる投機的な取引を誘発していた疑いがある。しかし、金価格が同社の予測に反して高騰し続けたことで、空売り側(運営側)の損失が膨らみ、資金繰りが急速に悪化した結果、顧客への証拠金返還が不可能になった。

この問題は、中国における非正規の金融プラットフォームが抱える構造的なリスクを露呈させた。当局は市場秩序を乱す行為として調査を急いでいるが、水貝地区のような伝統的な貴金属卸売拠点においても、デジタルトランスフォーメーションを悪用した不透明な金融商品が浸透していたことは、今後の規制の在り方に大きな影響を与えるだろう。

繰り返される個人投資家の抗議と当局の対応

中国では過去にも、理財商品(資産運用商品)やP2P金融の破綻により、[個人投資家]が街頭に繰り出す事案が頻発してきた。今回も[個人投資家の抗議活動]が大規模化した背景には、当局による監視の目をかいくぐって行われてきた「グレーゾーン投資」の脆さがある。

被害を受けた投資家の中には、全財産を投じた者も少なくない。過去の事例では、[個人投資家が資金返還を求め抗議]しても、全額が回収されるケースは極めて稀である。当局は社会不安の拡大を防ぐため、警察による強制排除などの強硬策を講じる一方で、地方政府による介入で事態の沈静化を図るのが通例となっている。

本件においても、羅湖区政府による資産整理がどこまで進むかが焦点となるが、投資家の間では「実物取引を装った投機行為」への怒りが収まっていない。中国国内のSNS上では、不透明な取引を許した規制当局の責任を問う声も上がっており、政府は今後、金取引市場全体に対するより厳格なライセンス制度の導入や、違法なプラットフォームの取り締まりを強化せざるを得ない局面を迎えている。

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