
張又侠失脚の衝撃:異例のスピード官宣とメディアのねじれ
2026年1月24日、中国国防部は中央軍事委員会第一副主席・張又侠氏と同委員・劉振立氏を「重大な規律・法律違反」の疑いで立案調査したと電撃的に発表した。習近平国家主席の「最側近」であり、軍のナンバー2とされる人物の失脚は、世界中に「地震」とも形容される衝撃を与えている。
今回の失脚劇で際立つのは、当局の対応の速さだ。大臣や地方の知事クラスが参加する勉強会(研習班)に張氏の姿がないことが海外メディアで報じられると、わずか2日後には公式発表が行われた。これは軍内の動揺を最小限に抑え、既成事実化を急いだ習近平政権の強い危機感の表れと言える。
軍機関紙の『解放軍報』は、直ちに「軍委主席責任制を蹂躙した」として張氏らを痛烈に批判する社論を掲載し、規律の引き締めを図った。しかし、不可解なことに、党の公式メディアは詳細な報道を控えており、軍報のみが突出して声を上げるという「メディアのねじれ」が生じている。
軍を覆う「沈黙」の正体:習近平の恐怖政治への拒否感
過去の郭伯雄氏や徐才厚氏といった軍高官の粛清時には、各戦区や各軍種が即座に「党中央への忠誠」を誓う声明を出してきた。しかし、張又侠氏の失脚後、全軍はいまだに沈黙を守り続けている。この異様な静観は、習政権の指揮権が揺らいでいる可能性を示唆している。
専門家は、この沈黙を「習近平氏の恐怖政治に対する軍の拒否感」と分析する。張氏は、習氏と同じ「紅二代(革命元勲の子弟)」であり、1979年と1984年の対ベトナム戦争で実戦経験を持つ軍内の実力者だ。その信望の厚い人物を、党内の正式な合意形成や法的正当性を欠いたまま強引に排除した手法が、軍高官らの強い不信感を買っているとされる。
錯綜する情報の真偽:核機密漏洩説と救出作戦の噂
失脚の原因については、米側への「核機密漏洩」という具体的な容疑も報じられているが、その信実性には疑問が残る。監視下にある軍トップが単独で機密を渡すことは物理的に困難であり、むしろ対台湾戦略における直言や、神格化された習氏の権威を損なう言動が「蹂躙」と見なされたとする見方が有力だ。
インターネット上では、中部戦区の第82集団軍が張氏救出のために北京へ進攻したという「クーデター説」まで拡散している。情報の裏付けはないものの、このような極端な噂が広まり続ける現状自体が、中国共産党内部が公開決裂に近い混沌とした状態にあることを物語っている。軍が静観を続け、統治の秩序が崩壊しつつある現状は、習政権が建国以来の重大な統治危機に立たされていることを明確に示している。
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