
事件の経緯:17元のミニ白菜が引き起こした凄惨な中毒症状
2026年1月25日までに、中国浙江省台州市天台県で極めて凄惨な食中毒事件が発覚した。被害に遭ったのは同県に住む楊さんとその夫である。二人は2025年12月14日、中国の格安ECプラットフォーム「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」内のショップから、4キログラムのミニ白菜(娃娃菜)を17.48元(約390円)という低価格で購入した。
同年12月16日にこの白菜を調理して食したところ、翌日から事態は急変する。夫婦揃って鼻血や口腔内からの出血、さらには下血の症状が現れたのだ。地元の天台県人民病院へ緊急搬送されたものの、妻の楊さんは一時昏睡状態に陥り、ICU(集中治療室)での集中治療を余儀なくされた。楊さんは約1ヶ月におよぶ加療を経て回復の兆しを見せているが、現在はより高度な設備を持つ杭州市の浙江大学医学院附属第一病院へ転院し、治療を継続している。
検出された「ブロマジオロン」とずさんな包装実態
天台県人民病院の診断結果は、抗凝血性殺鼠剤「ブロマジオロン(嗅鼠霊)」による重度中毒であった。警察が自宅に残されたミニ白菜を鑑定した結果、野菜本体、およびそれを包んでいた新聞紙から極めて高濃度の殺鼠剤成分が検出された。
警察の初期捜査によれば、殺鼠剤を包むために使用されていた新聞紙を、そのまま野菜の包装紙として再利用したことで成分が野菜に移行した疑いが濃厚である。販売業者は当初「年間数千万件を扱う中で、毒が入るなど無理な言いがかりだ」と反論していたが、警察の立案捜査が本格化すると同時にショップを閉鎖し、現在は行方不明(失聯)となっている。プラットフォーム側は1月24日、事態を重く見て当該商品を撤去し、再審査と警察への全面協力を表明した。
背景分析:低価格競争の歪みと「毒野菜」の系譜
今回の事件は、単なる個別の不注意では片付けられない構造的な問題を浮き彫りにしている。中国のネット通販市場、特に拼多多に代表されるプラットフォームでは、極限までの低価格競争が繰り広げられており、物流コスト削減のために不適切な包装資材の再利用や、管理の行き届かない零細業者による出荷が常態化している。
また、中国国内では「毒野菜」問題が断続的に発生しており、最近でも湖北省天門市で禁止農薬「カルボフラン」が違法に使用されていた事実が報じられたばかりである。こうした事件の背景には、生産・流通コストの圧縮が安全性を二の次にさせる経済構造があり、消費者の命を危険にさらす「食の安全(食安)」の欠如が深刻な社会問題となっている。警察は公共安全を脅かす重大な事案として、物流過程を含めた混入経路の特定を急いでいる。
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